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メディック株式会社

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印刷会社からの脱却! メディックならではの価値を損なうことなく、新しいビジネスに挑戦

札幌市のJR白石駅にほど近い住宅街にあるメディック株式会社は、プランニングから印刷まで、トータルプロデュースを手掛ける総合広告代理店です。創業時は病院の伝票をつくる印刷会社だったという同社ですが、34年目を迎えた現在、印刷業のほかにセールスプロモーションやWebへと業務を拡大しています。その背景について、代表取締役社長 大沼 学さんにお話をうかがいしました。

“印刷会社”から“印刷機能を持つ広告代理店”へ

御社の事業内容を教えてください

メディックは今年で34期目を迎える総合広告代理店です。先代が創業した当時は病院の伝票をつくる印刷会社としてスタートしましたが、現在ではセールスプロモーション(以下SPと略す)やWeb制作も手がけるようになりました。というのも、私が入社した14年前には、競合との価格競争が原因で会社の売り上げが落ちてきていたからです。そのため、これからどう売り上げを伸ばしていこうかと考えた時に、この先は印刷に加えてなにか“メディックならではの価値”がないと生き残っていくのが難しいだろうと思いました。そこで、今後は広告の企画やデザイン、Webにも力を入れ、印刷も行えるワンストップサービスの広告代理店を目指そうということになり、14年前に方向転換しました。

印刷業とそのほかのお仕事の割合はどのくらいなのでしょうか?

現在、メディックは、印刷・SP・Webを事業の三本柱としています。印刷だけの仕事もありますがそれ以外も増えて、割合としては印刷が40%、SPが40%、Webが20%といったところです。今後はWebの比率を増やしていきたいと思っています。

得意な“病院”分野での伸びしろを探り“病院広報”の仕事をはじめる

病院広報サポートネット

病院広報サポートネット

御社が、現在もっとも注力しているお仕事はなんですか?

“病院広報”に関する仕事です。これは、創業時からお付き合いのある病院と、なにか新しい事業をはじめられないかと考えスタートさせたものです。実は病院の“広告”というのはかなり難しい分野でして、医療法で厳しく規制されているために自由に情報を発信することができないんです。そのせいで、病院を探している患者さんに情報が伝わりにくいという現状がある。みなさんも「お腹が痛くなったけど、どこの病院に行けばよいかわからない」といったような経験があるのではないでしょうか? これもある意味、病院の広告が規制されていて、情報が制限されているせいなんですね。そこで“広告”ではなく“広報”という形で病院の情報を患者さんに伝えていくのはどうだろうかと思いつきました。

病院の広報というと、具体的にはどういったお仕事なのでしょうか?

ひとつには、広報誌の制作というのがあります。しかし単純に“広報誌の制作を請け負う”だけでは終わらせていません。病院の広報誌を制作するには、さきほどもお話ししたように医療法についての知識が必要だったり、病院によってはレイアウトの仕方や文章の書き方、写真の撮り方についてまったく知らない担当者の方も多いんです。そこでメディックでは、広報誌を制作していただいた病院に広報誌の作り方をアドバイスするなど、付加価値として弊社ならではのサービスも行っています。さらに最近、病院広報サポートネットという任意団体を立ち上げ、webサイト上で病院広報に関する情報を集約させていこうと思っています。将来的にはこの「病院広報サポートネット」から、新しいビジネスにつながる展開も考えています。

Web・モバイルからシステム開発まで、
“断らない”姿勢で新ジャンルにチャレンジ

ほかにはどのような仕事を手がけているのでしょうか?

飲食店や不動産会社のSPとして、チラシやパンフレットから、看板やメニュー、のぼりの制作まで集客に関する販促物について、総合的に制作を請け負っています。そのほかにも、印刷物やパンフレットをデジタル化したいというお客様の声に応えて、Webやモバイルコンテンツなども手がけてきました。例えば、某リゾート施設からいただいた「レストランの混雑状況をお客様がお部屋に居ながら確認できるようなものを作れないか」という要望に対し、スマホから「今、このレストランは何分待ちなのか」ということを確認できるシステムもつくりました。このほかにもリフトの運行状況を確認できるシステムを開発したので、これをパッケージ化して別のクライアントへ販売するといったビジネスも考えています。

Webやシステム開発など、新しいお仕事を請けた時には、あらかじめ社内にリソースを用意されていたのでしょうか?

いえ、外部に発注していました。なので、うちとしても勉強しながら仕事に取り組んでいたという感じですね。弊社のように印刷業からWebやシステムなど、まるっきり新しい分野に挑戦する時には、まず“断らない”ということが大切だと思います。
そうしないと、仕事が逃げてしまいますからね。

仕事にプラスアルファ、メディックならではの価値をつけていく

メディック株式会社

札幌の印刷業界は、現在、どういった状況なのでしょうか?

厳しいと思います。印刷だけをやっていても、この先、生き残ることは難しいでしょうね。そういった意味で、他社さんもデザインの仕事を始めるなどして生き残りを図っていますが、これから業績を伸ばしていくためには、やはり先ほどから話しているように“付加価値”をつけるということが重要だと思います。

メディックは病院伝票をつくっていた創業当時から、伝票制作に加えて担当者に伝票の使い方をレクチャーするなどして、他社との差別化を図ってきました。その頃から工夫して“メディックならではの付加価値”を追求していた訳ですから、今後もその点を大切にしていきたいです。

最後に、メディックの今後の展開についてお聞かせください

立ち上げたばかりの「病院広報サポートネット」を窓口にした新しいビジネスの展開を考えています。例えば、「病院広報サポートネット」を見に来たお客さんを相手に、診察券を販売するといったことです。クリニック向けに診察券を売っている会社の数はたくさんあるんですが、それなりにコストがかかります。対して、メディックで制作すれば、診察券だけでなくロゴマークの制作まで行って、かつ値段を安くおさえることができる。そうした体制をつくれば、きっと需要が生まれると思います。

また、大きな目標としては、病院広報についてなんでもわかる道内一の企業になりたい、ということがありますね。それをビジネスにつなげていくのはもちろんのことですが、そのほかにも広報という形で病院の情報をしっかりと患者さんに伝えることで、みなさんのお役に立てる会社になれると嬉しいです。

取材日: 2016年7月21日
ライター: 山田桃子

メディック株式会社

  • 代表者名: 代表取締役社長 大沼 学
  • 設立: 1983年3月
  • 資本金: 48,500,000円(平成28年2月1日現在)
  • 本社: 札幌市白石区北郷3条4丁目7番18号
  • URL: http://www.medicgroup.co.jp/

株式会社AZ

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株式会社AZ

Webの運用型広告を手掛ける株式会社AZ。
運用広告は、画面に映し出される寸前のわずか0.1秒の間に、1つの枠を巡る激しい入札競争を競り勝たなければならないそうです。そのために一体何が必要なのか?代表取締役社長の藤堂高義さんは、ホームページ制作会社から一転、独自のやり方で運用広告の世界を突き詰め、わずか4年で急成長を遂げました。大学卒業後、すぐに起業という経歴は、さぞかし順風満帆だったのかと思いきや……。意外なお話を伺ってきました。

「やりたいことに勝負をかけて終わろう!」と覚悟

大学卒業後、就職せず起業されているというのは、すごく異色だと思うのですが、学生の頃からの計画だったのですか?

いえ、行き当たりばったりですよ(笑)。ただきっかけは学生時代ですね。
ITと初めて関わったのが、大手携帯会社の学生向けプロジェクトに参加して、コンテンツやアプリの制作に携わったときでした。実はプロジェクトの参加条件は「ホームページ制作」が出来ることでしたが、出来るふりをして参加しました(笑)。
実際にシンクタンクの企業に勤めるプロの方から教わる、IT業界にまつわる様々な知識がすごく面白くて、この世界で仕事がしたいと思うようになりました。
そこから独学で制作を学び、当時の「ITでベンチャービジネスを」という起業ブームもあり、「自分たちでやろう」と、ノリで起業を目指しました。

そして勢いに乗って、右肩上がりに発展されてきたのですね?

残念ながら違います(笑)。実は、IT 以外で手掛けた仕事が全然上手くいかず、半年くらい京都の木屋町で飲んだくれていた時期もありました(笑)。
「これじゃあダメだ」と、ホームページ制作の会社を設立したら、今度はITバブルが崩壊して現実の壁にぶち当たりました。起業さえすれば、いずれ上場して儲かると思っていたんです(笑)。
それでも4年ほどホームページ制作の仕事を続けた2007年頃、お客様に「ホームページを作ったけど売上が上がらない」と言われて、改めてお客様にとってのホームページの意味を考えるようになりました。

「SEO 対策」が注目され始めた頃ですよね?

そうです。初めて「SEO」の本を読んだときは、検索エンジンから人を呼べることにびっくりしました。でも学ぶうちに、自然検索(オーガニック・サーチ)よりネット広告のほうが市場規模に10倍の差があると気づいたんです。この時「どうせやるならインパクトの大きい広告がやりたい」と、ヤフーの広告代理店に応募し、採用されました。けれど、現金収入があるのはホームページ制作の仕事だったので、広告の仕事にシフトできないまま、とうとうリーマンショックと東日本大震災のあおりを受けて仕事が激減、3人まで会社規模を縮めざるをえなくなってしまったのです。

とても苦労されてきたのですね。では、どうやって、今の「AZ」の姿になったのでしょうか?

本当に行き当たりばったりなんです(笑)。
でもとことんまで追い詰められた時、どうせなら「やりたかったことに勝負をかけて終わろう」と思い、「全力で広告をやる」と決意しました。
お世話になった社長さんには「お前は目の前のことを上手くこなす能力が高いあまり、ビジネスモデルが破たんしても自分で自分を延命させ、最悪な段階まできた。もう決めたことに打ち込むスタイルに変えろ」と言われました。
それで、一旦制作業務をすべて手放し、広告業務だけに絞ったのです。
これが、めちゃくちゃ良かった。

総合的でないこと、広告ひとつに絞ったことが、逆に強みに

広告だけに絞って、良かったことは?

まず利益の出し方が全く変わりました。
もちろん、初めは仕事の依頼は減りましたが、予算規模が大きな顧客から指名がかかるようになりました。
というのも、ここ数年、Webマーケティングをお願いしても広告だけイマイチ反応が悪いという状況が、多くなってきています。弊社に指名が入るようになったのも「広告だけを専門に扱う会社があるらしい」と注目され始めたからです。関西では広告に特化した会社は珍しい存在でした。

広告を専門に扱うことで、それまでとは違ったアプローチができるようになったということでしょうか?

そうですね。企業が自社の捉え方を間違えていることはよくあるんです。
「アクセス数も多く、ネット経由のお客様が多い」と思っていても、データ解析をすると、一度サイトに来た方は二度と来なかったり、逆にネット環境以外の広告が成果を上げていたりする状況が見えてくるのです。
お客様は気づいていない時でも、我々はデータを基にフィードバックできるので、例えば「あるターゲットに向けて、サイトを分けたほうがいい」と提案すれば、お客様が制作会社に指示を出し、その結果、数字が上がるということが起こるのです。

せっかくなので、そのまま「制作」まで手掛けたらいいのではないでしょうか?

ところが、違うんです。
以前は、制作からSEO解析、広告まで総合的な対応を目指していました。けれど広告以外を全て手放したおかげで、広告に集中し、深い知識や多くの経験値を得られました。制作から離れ、指示する立場に徹するからこそ、客観的な視点でこうしたアプローチができるのです。

つまり広告に絞って、総合的でないことが、逆に強みになったのだと思います。

「お客様の商品を理解した予算配分や入札を掛ける」作業を、
どれだけマニアックにできるか

現在のお仕事は、具体的にどんな内容になるのですか?

そもそも運用広告とは、希望の枠に広告を載せるために入札を掛けるものです。わかりやすい例では、グーグル検索結果の上部や右脇に表示される、サーチ広告があります。検索したキーワードに合った広告が1ページに5~6個ほど表示されます。この枠に載ること、それも上の方に位置するほど、そのページを開いた人の目に留まりやすくなります。
そこでこの広告枠を巡り、全国規模で入札取引が行われるのです。
例えば、「不動産・大阪」というキーワードが検索された時の広告枠を、1クリック100円で入札するという設定をしておくとシステム内で入札が争われ、適した額の広告サイトが表示されます。
この入札価格を、高く設定すると1クリックあたりが高いため損します。でも低くし過ぎると競り負けて表示されません。これらを加味し、お客様のビジネスに合ったキーワードを選定し、価格を調整して入札するのです。

なかなかシビアな取引ですが、競り勝つための、ポイントは何でしょう?

検索をかけホームページを見に行く人に合わせてどの広告を出すのか、日常の様々な要素を加味することが重要です。
台風が来れば予定がキャンセルになり、家に籠ったり雨宿りで店に入ったりしますよね。
その暇を持て余し、スマホを触ります。
こうした時、買う予定で比較検討していた商品を「今、買おう」ということになるのです。他にも、天気、気温、経済や社会情勢に関するニュースなどが影響を与えますし、ECサイトであれば、土日に商品を受け取るため水曜に買う人が多いので、水曜の入札価格は上げるといい……など、お客様の要素は無限にあります。
つまり「お客様の商品を理解した予算配分や入札を掛ける」作業を、どれだけマニアックにできるかというのが、他社に競り勝つポイントであり、我々の仕事になるのです。

なるほど、運用広告の専門家になることで、お客様の期待に応えているのですね?

例えば、毎日同じ価格で1か月間適当に入札を掛けることもできます。ただ正直、成果は出ません。
当社では、商品ごとに細かく予算の配置を変えたプランニングをします。「安定して成果が出ているワードについては、月予算の半分をあてる」、「リスクは高いが、当たる可能性を感じるワードについても、いくらか掛ける」などと、予算の割り振りを提案しています。
だから、広告運用会社を当社に変えるだけで、同じ予算なのに高い成果を得られるようになるのです。

自分がNO.1プレーヤーになり
「僕について来なさい」と言えるようになる

広告だけに絞ろうと決めた時、ノウハウや知識はどのように得たのですか?

Google(グーグル)とYahoo! (ヤフー)は、代理店向けの勉強サイトを充実させているので、そこで1から猛勉強をしました。多分普通に仕事をしながら、社内教育を受けていれば、そのサイトの情報量は多すぎるので補足位にしか読まなかったでしょうね。でも実はめちゃくちゃたくさんの内容が、きちんと書かれています。そこを網羅しました。

なるほど、大量の知識を得ることで、現在の“マニアック”さを手に入れたのですね?

いえ、やっと最低限、全部の機能や業務知識を得たという感じです。
でも応用が利くようになりました。
もし社内教育の知識だけであれば、すでに使っている機能や自分たちの発想の中で、機能を使うので広がらず、段々発想は狭まっていきます。ところが僕の場合その縛りがなく、全部知ったために、実はこんなことができるとか、この組み合わせでこんなことができるんじゃないかとか、既存の代理店にはない発想を持てたと思います。

すごく深いお話ですね。効率を重視するビジネスシーンでは見逃しがちな視点だと思います。大勝負をかけたからこそ、見つけられたノウハウだったのですね?

そうです。それに経営的にもターニングポイントでした。
起業して初めの頃は、小さな会社の役割分担をわからず、後輩の「社長は経営に専念してください」という言葉に甘えていました。知識がそれほどなくても、得意なしゃべりに任せて仕事を取り、会社を経営できていたのです。200人規模の会社だったら、それでもなんとかなったのかもしれません。でも今振り返れば、経営者ごっこだったなと思います。
結局、規模を縮小すると、そうはいかなくなりました。そこでやっとマネージャーであることを止め、初めてプレーヤーになったのです。
これは僕にとっても、大きな覚悟をした瞬間でした。
とにかく猛勉強して、誰よりも深い知識を身につけました。自分がNO.1プレーヤーとなり「僕についてきなさい」と言えることで、部下を育てられるとわかったんです。

就業規則を全員で決めたことで、労働することの意識が変わった

御社では普通の企業とは少し違う、「就業規則」があるようですが?

その時いた従業員全員で就業規則を決めました。社労士の先生も交え、勤務時間や残業の扱い、それ以外にもキャリアの仕組みや教育システム、研修内容なども含めすべて全員で話し合って決めたのです。
だから、自分の有給の日数を把握して、ちゃんと使い切りなさい、就業規則を覚えなさいと、指導しています。

全員で決めたことで、何か変わりましたか?

そうですね、休みをきちんと取る意味とか、会社の目標を基にルールを作っていること、そのためにやってほしいことがあるという話が、社員の中で通じるようになりました。
「労働することの意識」が変わったと思います。
「就業規則」は会社の足腰みたいなものですよね。ルールがしっかりすれば、社内もしっかりすると思うのです。

独自の立ち位置、独自の見せ方を自身で作り、唯一無二の存在へ

株式会社AZ 代表取締役 藤堂高義氏

今後はどのような事業展開を目指しているのでしょう?

最近の業界の流れとしては、「何でもできます」という広告会社は少ないですね。デザイン戦略を考えるのが得意な会社、ブランディングから設計までが得意な会社など、強みを専門に扱っています。クリエイティブと関係がなかった分野からも、Webマーケティングの世界への参入が始まっていますし、我々も、規模では先行している大手の会社に勝てないので、独自の立ち位置、独自の見せ方を自身で作らないといけないと思っています。
もう少し戦略側に寄せた機能に特化し、いままでにないビジネスモデルに変えていきたいですね。
僕らが先だったという立ち位置を早く作りたいです。

その場合の鍵は何になると思いますか?

クリエイティブです。
最近グーグルは、さまざまな要素を加味した自動入札というシステムを作りました。我々が分析し、人の手でやっていた設定入力を、放っておいても自動的にやってくれる機能です。
そのため次の一手と考えているのが、バナーの中のクリエイティブで差が出るという考え方です。
新たに参入してくる企業は、システムやコンサルに強くても、クリエイティブは弱い。
クリエイティブの設計もわかった上でデジタルマーケティングができるコンサル会社は、今のところ日本には見当たりません。その唯一無二の立ち位置になりたいですね。

取材日: 2016年7月19日
ライター: 東野敦子

株式会社AZ(エーズィー)

  • 代表者名(よみがな): 代表取締役 藤堂高義(とうどうたかよし)
  • 設立年月: 2004年7月
  • 資本金: 1,000万円
  • 事業内容: 運用型広告運用、メディアプランニング、ウェブマーケティングコンサルティング、アクセス解析、
           コミュニケーションデザイン設計、各種ツール代理・導入支援、担当者教育・セミナー
  • 所在地: 大阪府大阪市北区西天満6丁目7−2 新日本梅新ビル 4F
  • URL: http://www.azkk.co.jp/
  • TEL: 06-4950-4974
  • FAX: 06-4950-4975
  • e-mail: info@azkk.co.jp

エフエヌプランニング株式会社

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エフエヌプランニング株式会社

名古屋のビジネス街である「伏見」にオフィスを構える、広告・デザイン会社のエフエヌプランニング。
CI計画、ホームページ、会社案内、パンフレット、展示会ブースなど、総合的に考え企業をサポートし、デザインを通してブランドを構築する仕事をされています。
設立は1980年(昭和55年)。移り変わりの早い業界において、40年近くもの実績は信頼の証です。
今回は、同社代表の美和 彰(みわ あきら)さんに、仕事に対する姿勢、同社の強み、こだわりなどをお伺いし、業界で成功するコツを探ります!

出版社での修行の日々。続けられたのは、仕事が面白かったから。

デザイン業界に興味を持たれたきっかけを教えてください。

デザイン業界に興味を持たれたきっかけを教えてください。

デザイン会社でアルバイトをしたことがきっかけです。当時は手作業で版下制作をおこなっていました。この作業で重要だったのが黒インクで線を引いたり、塗りつぶしたりする「墨入れ作業」。この細かい作業が得意だったのです。というのも、高校時代は、電気製図を学んでいて、図面の中に半径2~3ミリの円を烏口(からすぐち)で書いたり、0.1ミリより細い線を当たり前のように書いていました。

デザインを専門的に学ばなくても、デザイン業界に入ることは可能なんですね。

高校は工業系の電気科でした。細かい作業に加えて、小学生の頃から造形が好きだったということもあり、電気からデザインの方に興味がシフトしていきました。高校卒業後、デザイン研究所に勤務して1年程たったころ、たまたま大阪の出版社で求人があり、縁もゆかりもない土地でしたが、思い切って行くことにしました。

出版社ではどんな仕事をされましたか?

当時の出版社は、取材から撮影、コピーライティング、レイアウトまで、全て編集者がやりやました。私はデザイナーとして、同じチームに入った一人はコピーライターとして採用されましたが、二人とも業務は同じことをしていました。メイン業務はそれぞれ違いますが、お互い、取材から撮影・コピーライティング・レイアウトまで全てをこなしていました。

相当な忙しさだったでしょうね。

少人数で260ページの月刊誌を受け持っていました。1カ月サイクルで、最初の1週間は余裕たっぷりの天国、次の2週間は終電までにはなんとか帰れる普通の生活、最後の1週間は完全に寝袋(泊まり込み)の地獄(笑)でした。ただ最初の1週間が天国といっても、遊んでいるわけではなく、イラストレーターと会ったり、カメラマンの個展に行ったりして人脈を築いていました。

ハードなお仕事を経験する中で得るものは大きかったでしょうね?

自分で撮影もするし、印刷も最初から最後まで面倒をみるし、広告クライアントの管理もするので、短期間で本の制作に関する多くの知識を身に付けることができました。ただ、出版・デザイン業界は、徒弟制度で給料も安い。勤務しているというよりも修業でした。出版社全体としては同期で何人か入社しましたが、ほとんどの人が夜逃げしていなくなりました。

ご自身が続けることができたのは、なぜだと思いますか?

単純に好きだったからです。仕事が面白かったからです。自分たちで企画し、取材し、デザインし、最終の印刷まで全て自分の目で確かめたものが世の中の書店に並ぶわけです。また、印刷会社のスタッフ、カメラマン、イラストレーターの方々との遣り取りも非常に楽しかったですね。
若かったので、すべてが刺激的で、会社に寝泊まりするくらいは、まったく苦になりませんでした。

展示会の企画・運営・設営までやるデザイン会社

エフエヌプランニング株式会社

独立までの経緯を教えてください。

出版社で、一通りのノウハウを覚えましたが、食っていけない。そこで、同期の一人と一緒に名古屋で独立することにしました。出版とデザインが両立した会社であることを特長とし、デザイナー3人、コピーライター2名の総勢5名で始めました。

設立時の業務内容を教えてください。

当時の名古屋には出版社がなく、あっても教材関係くらい。出版ではやっていけないと思い、“編集の得意なデザイン会社”を目指し、銀行の情報誌、一流ホテルの季刊誌、会社案内、学校案内を数多く手掛けました。

クライアントはどのように獲得しましたか?

飛び込み営業も随分しました。運がいいことに、大手印刷会社と取り引きができ、金融関係のコンペに参加、採用されたことで信用を得ました。

大きな転機ですね。

それがあったから、今があります。誰もが知っている銀行のボーナスキャンペーンでした。カメラマンやモデルも一流の人を紹介してもらい、かなり力を入れて制作しました。おかげで、新規営業にも自信を持っていける作品ができ、仕事が増えていったのもそれからでした。

長年続けてこられて、印象的なエピソードは?

大きな展示会場を使って、石油関係の会社の80周年イベントを仕切る仕事がありました。相談にのっているうちに、当社で運営から施工までの全てを担当することが決まったのですが、通常ならこのような展示会の仕切りは、それなりの規模がある代理店の仕事です。しかしお客様は依頼する際、「グラフィック」と「展示会」という分けた考え方をしないので、トントン拍子に企画から運営マニュアル、施工、当日の運営までの全てを仕切ることになりました。
デザイン会社の中で、当社のように展示会の企画・運営・設営までこなせるノウハウを持っている会社は、珍しいと思います。

条件にこだわりすぎず、好きな分野に飛び込んでみよう!

エフエヌプランニング株式会社

今、一番力を入れている分野は?

お客様のブランド力をアップするお手伝いをしているので、何かひとつに力を入れることがなく、WEB・展示会・グラフィックなど総合的に考えて提案をしています。

そうした取り組みの中で、こだわっていることは何ですか?

お客様の魅力を十分に表現するために、コミュニケーションを大事にしていることです。お客様と良いパートナー関係を作って、デザインが経営戦略の大きな役割となることをぜひご理解いただきたいと思います。「安ければいい」というのではなく、名刺1枚にしても、会社の魅力がアピールできるよう、お客さまから「聞き出して表現する」というスタンスを大事にしています。

業界を目指す人たちに向けてアドバイスをいただけますか?

「厳しそう」「残業が多そう」という基準で仕事を選択していてはいけないと思います。本当に好きでやりたいなら、一度飛び込んでみては如何でしょう。 特に、我々の業界というのは、やりたくて目指している人が多いはずです。一生のうち、数年間くらいは死にもの狂いでやってみることが大切だと思います。

取材日: 2016年7月26日
ライター: 石崎幸子

エフエヌプランニング株式会社

  • 代表者名: 美和 彰(みわ あきら)
  • 設立年月: 1980年8月
  • 資本金: 1000万円
  • 事業内容: 広告、宣伝に関する企画制作
            販売促進に関する企画・制作
            書籍、年史、写真集等の出版物の企画・編集及び出版・販売
            博覧会、展示会、イベント等の企画・制作・運営
            広告代理業務
            マルチメディア及びソフトウェアの企画・開発
            インターネットを利用した情報ネットワークの企画・構築及び運営
            テレビ・ラジオ放送の番組及びコマーシャルの企画・制作
            屋内外広告看板、ディスプレイの企画・制作
            印刷業
            建築の企画及び設計・管理
            上記各号に附帯する一切の業務
  • 所在地: 名古屋市中区栄1-12-105 SFPビル2F
  • URL: http://fn-planning.com/
  • お問い合わせ先: 052-218-0800

株式会社システムトランジスタ

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株式会社システムトランジスタ

“楽しむこと”をモットーに掲げる福岡のソフトウェア開発企業の株式会社システムトランジスタ。2009年に起業した翌年に、人材育成を目的とした職業訓練事業をスタート。現在では人型ロボット「Pepper」に採用されているロボットアプリケーション開発にも力を注いでいる。代表取締役社長の高橋周矢(たかはししゅうや)さんに会社設立のきっかけから、今後のロボット事業の可能性までを熱く語って頂きました。

自らシステムを作る、その面白さに取りつかれITの世界へ

株式会社システムトランジスタ

前職は不動産業界ということですが、会社設立までの経緯を教えてください。

大学を卒業して就職したのがたまたま不動産屋だったのですが、やりながら自分で稼ぐことに魅力を感じ、「自分のチームを作ってやってみたい!」と独立を考えるようになりました。そこから何をしようかと探し始めたのですが、当時働いていた会社でExcelの関数や数式を使って簡単なシステムを作り、会議の資料作成や顧客管理をするうちにその魅力に取りつかれてしまいました(笑)。想像以上に面白く、「このままシステムってやつに触れてみようかな」と思い、IT業界に進もうと決めました。そこから学校に通って2年ほど現場を経験し、とにかく楽しくて、この先何十年先も一緒に酒を飲めたらいいなと思える仲間と会社を立ち上げました。

パワフルな会社HPからも社内の楽しい雰囲気が伝わってきますね。通称「シストラ」と呼ばれる社名にはどのような意味があるのですか?

トランジスタ技術が世の中を大きく変えたように、革新的な技術にあやかって付けました。「トランジスタ」は拡充器、増幅器という意味なので、システムを大きくするという意味も一緒に込めています。一度お会いした方はうちの会社を「シストラ」と呼んでくれるので、結果的に憶えやすい名前で良かったと思っています。ロックバンドグループみたいなHPも私が作りました。昔から音楽が好きでバンドをやっていたこともあり、会社のメンバーでバンドができたらいいのですが、現実的には仕事になりませんからね(笑)。

職業訓練を通してスペシャリスト育成に力を注ぐ

事業内容にある技術者育成事業とは?

もともと学校をやりたかったので、そういう想いから会社設立の翌年、2010年8月に「シストラIT技術訓練学院」を立ち上げました。私自身も職業訓練からスタートしたこともあり、そこに集まってきたメンバーが仲間みたいになるのが楽しくて(笑)。卒業後はビジネスパートナーとして繋がれるのも職業訓練校をやっている面白みでもありますね。

高橋さん自身が一人で指導されているそうですね。

はい、カリキュラムから考えて指導しています。うちはソフトウェアが本業なので授業内容も普通の学校とは全然違いますよ。いわゆる“即戦力になる人材を本気で育てる”ために作った学校なので、生徒として集まってくる人たちも良いものを持っていますね。私自身、訓練生時代は特に出来ない方でした(笑)。だから分からない人の気持ちが理解できるし、そういう視点で接しているから「ここは特に難しい所だよね」「自分も1回では分からなかった」と言いながら注意して教えています。受講生がその時に理解できなくても、卒業して現場で仕事をする時に「あの時のはこれだ!」と理解する日がきっと来ます。

指導する上でどんな事に重点を置いていますか?

プログラムをするうえで大事なのは基礎。他の学校が1週間でやる内容をうちでは1ヶ月かけて教えます。応用力を高めるために基礎を何度も繰り返し、いろんな問題を解くことで自分の引き出しを増やす。すると、いざ難しい問題に出会っても選択する引き出しが多ければ必ず解けます。いわゆるツールを増やして応用に備えるということです。プログラミングの答えは1つじゃない、それが面白味でもある。生徒達にはそこを楽しんで欲しいと伝えています。

新たな戦力、それは人との共存を目的としたロボット事業

「pepper」

現在はロボット事業に力を注いでいますね。詳しく教えてください。

2015年6月に「pepper」が一般発売されると知って「ロボットがここまできたか!」と感動しました。ロボットが好きだったのでこれを仕事にしたら楽しいだろうなと思いましたね。ソフトウェアと教育だけでは先細ると感じて、新たな事業を探しはじめた矢先の事だったので、そこにロボットの話が舞い込んできて「これは最先端だ!」と思い参入を決めました。今のうちからやっておかないと取り残されるというか、出遅れることになりますからね。今年で2年目ですが手応えはまだまだですね。でも必ず来ると信じています。ノウハウをしっかり溜め込みたいと思っています。

具体的に「pepper」のどんなシステムを作っていますか?

弊社のロボット事業はコミュニケーションやエンターテインメントの要素が大きいので、BtoC(企業が個人向けに行う事業)向けのサービスを展開しています。要は、ロボットが歌ったり踊ったり、一緒にゲームを楽しんだりするシステムです。企業に対してロボットでのソリューションを展開するよりも、幼稚園児や商店街イベントや高齢者向けなど、ロボットを使って人に楽しんでもらえるソフトを目指しています。例えば、「pepper」が結婚式を盛り上げる「親子の時間」というアプリは、チャペル入場前の父娘だけの時間に「ねぇ。○○ちゃん、今日はお父さんに伝えたいことがあるんだよね」と言って胸の画面に動画や音楽とともに手紙を流し、新婦からこれまでのお礼を父親に伝えるというものです。このアプリの特徴は、新婦さんと一緒に作ることと、式前の「親子の時間」という、人が入ってはいけない領域に、ロボットが入っていけること、です。他には、カレンダー機能を利用して誕生日や記念日を登録し、当日になったら「pepper」がお祝いしてくれるアプリもあります。あと、これから必ず必要になってくる介護向けのアプリケーションも考えています。「pepper」みたいな大きさの可愛らしいロボットが人前で活躍した方が楽しいですからね。アプリ開発を通して、人間とロボットが共存する未来が一歩ずつ進んでいくのを感じています。

今後、ロボットを使って手掛けたいことは?

小学生や中学生に対してロボットの授業をやってみたいですね。子供にプログラミングを教えることは論理思考を働かせるという長所がありますが、それよりも小さい頃からロボットに触れて、科学技術に興味を持って欲しいです。「なんで動いているの?」と思う子は制御装置のサーボ(自動制御装置)に興味を持ってハードよりの勉強を選択するでしょうし、「なんでしゃべるの?」と思う子は音声やセンサーに興味を持ってプログラミングを意識するでしょう。小さい頃から興味を持って勉強する事で自分の未来を選択する力が養われるはずです。今“AI(人工知能)”が話題になっていますが、今現在、まだ全然完成していない状態なんですよ。それを完成させるには小さいうちから興味を持って専門の勉強をしていかないと、私のように大学卒業後に目指しても簡単にできるものではない。そこに周りも気づかないといけないし、私自身も若い子達をどう育てればそこに至るかを考えています。

福岡から東京、そして世界へと目を向ける

ロボット事業はまさにこれからですね。今後の展望や夢を教えてください。

株式会社システムトランジスタ

30歳を過ぎてからは世界中を飛び回りたいと思うようになりました。今はロボットについて、情報収集や情報交換のために東京によく行っています。福岡にじっとしていたら全く手に入らない情報が東京には沢山あります。弊社では、出張所の構想もありますが、世間的に福岡の人はなかなか東京に行きたがらない(笑)。やっぱり住みやすいからでしょうか。でも福岡にはロボットの仕事が少ないのが現状です。もちろん仕事で海外に出たいと思いますが、ロボットに関しては日本の方が進んでいます。コミュニケーションロボットにおいては、いわゆる「pepper」は世界でトップクラスです。これからの1、2年でどんどんロボットは出てきますし、言語も統一されてくるでしょう。

最後に、これからロボット事業を目指す方へ、一言。

常に最先端を見据えないと駄目です。もうJavaは最先端ではありませんし、業務アプリケーションも、ゲームも、SNSも、既に完成して充足した状態です。だから、今更新規で入るのは既に難しい。それより周りが気づいていない、油断している分野を見つけていくのが重要。私自身も常に監視して新聞や専門誌に目を通してアンテナを張っています。この世界はいつ置いていかれるか分からないくらいスピードが速いですから。

取材日: 2016年7月25日
ライター:井みどり

株式会社システムトランジスタ

  • 代表者名(よみがな): 高橋周矢(たかはし しゅうや)
  • 設立年月: 2009年4月
  • 事業内容: システム・インテグレーション事業/WEBソリューション事業/ネットワーク・インフラ事業/技術者教育事業
           ロボットコンサル事業
  • 所在地: 福岡市中央区渡辺通2-7-14 パグーロ薬院7F
  • URL: http://www.systra.co.jp
  • お問い合わせ先: 上記HPよりお問い合わせください

株式会社 旭プロダクション

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アニメ業界に革新! 中央と地方、海外をデジタルで繋ぐ業界の先駆者 株式会社 旭プロダクション

東京、関町に本社のある株式会社旭プロダクションは、宮城県白石市(しろいしし)にオールデジタルのスタジオを持ち、紙と鉛筆で描かれてきたアニメーションの作画作業にいち早くデジタル化を採り入れた業界の先駆的な存在です。その挑戦には、日本屈指の撮影会社として、撮影部門でのデジタル化の成功体験が影響しているようです。
デジタルを活用し全国のクリエイターをつなぎ地方クリエイターの力を活用するという業界の未来を見据えての戦略とアニメ業界への思いを制作本部長の遠藤 修一(えんどう しゅういち)さんと課長の古家 弘康(ふるや ひろやす)さんに伺いました。

昭和48年創業、日本屈指の撮影会社
業界に先駆けてデジタル化

元々、旭プロダクションさまは、撮影会社からスタートされたということですが。

撮影会社としてスタートした歴史を物語る本社のエントランスに飾られたカメラ。

撮影会社としてスタートした歴史を物語る本社のエントランスに飾られたカメラ。

遠藤さん:はい、昭和48年に撮影会社としてスタートして、今年、44期目になります。創業時は、テレビCMの制作やアニメーション番組の撮影、アニメーションの合成技術などを提供していました。
撮影は、弊社の事業の柱で、日本屈指の撮影会社であると自負しております。

アニメーションの制作部門ができたのは、いつ頃だったのですか?

遠藤さん:『鉄人28号』の特殊効果を担当した2004年頃です。
宮城県に白石スタジオが出来る前は、東京本社ですべてを行っていました。東京では、今も、アナログ(紙と鉛筆)で制作しています。
今から6年程前の平成22年、震災の前の年、デジタル作画専門のスタジオを地方で作ろうという話になり白石スタジオを設立しました。

スタジオを宮城県白石市に作ろうと考えられた経緯を教えてください。

古家さん:まず、経営戦略の1つとして、デジタルを導入するにあたりオールデジタルのスタジオを地方に設立しようという構想があり、地方で場所を探していたところ、白石市が手を上げてくださったのが経緯になります。

遠藤さん:白石市の協力体制があった上でのスタジオ設立で、当初は、行政のお仕事をいただき、震災後は、緊急雇用対策の受け皿になったり、行政との繋がりがかなり強い形での運営でした。立ち上げた当初はデジタルのクリエーターも育っていませんでしたので、地方活性化に重きを置いていました。

古家さん:試行錯誤を繰り返し、現在では、東京と同じ機能を持つ小さな本社のような存在です。白石は、業界に先駆けてオールデジタル化したスタジオです。

アナログからデジタルへ
試行錯誤の日々

宮城県白石市のスタジオは、オールデジタル

宮城県白石市のスタジオは、オールデジタル

デジタル化を進める過程で一番苦労したことは何ですか?

遠藤さん:デジタル化するとすぐに効率化、省力化が出来ると考えがちですが、作画作業がアナログからデジタルに変わる中で、一気に理想通りに変わるのではなく、色々なコンセンサスをとって、徐々にデジタル化が進んでいくという期間があり、そこでは様々な能力が必要になったり、費用がかかります。

つまり、アナログとデジタルが混在する期間があり、100パーセントアナログで制作する以上に効率が悪いんです。先行してデジタル化を進めるためには、そういった過程も乗り越えていなければなりません。

また、クリエーターの考え方の問題もあります。人によっては、デジタルに対して拒否感と言ったら言い過ぎかもしれませんが、アナログで制作することにこだわりがあって、なかなかデジタルへ移行出来ないという方が、一流のクリエーターの方の中にもいらっしゃいます。お仕事をお願いしようと思っても、その方がデジタルについて親和性を感じてくださっていないと苦労することも多いです。過渡期には、一時的に負担が重くなってしまうことも度々あるのが現状です。

古家さん:完全にデジタル化すれば、制作負担が大幅に軽減できると思っています。

撮影部門が、アナログからデジタルに移行した時も、移行は大変でしたか?

古家さん:撮影が、アナログからデジタルになった時は、セル時代にくらべて制作工程の効率が劇的にあがりました。
それだけでなく、セル時代と違って絵を何枚重ねても劣化しないので、演出の幅が広がりました。
会社的にも全てがデジタルの方が良いと実感出来たのです。

撮影のデジタル化での成功体験が、アニメ制作のデジタル化への挑戦につながったということでしょうか?

古家さん:はい、撮影についてはいい結果に恵まれました。しかし、デジタル作画については、必ずしもそうではありませんでした。
会社としては生産性の効率を上げたかったのですが、クリエイティブについて、目に見える劇的な変化があったわけではないので、現場のクリエイターにとっては、デジタル化することが負担になることもありました。

御社が業界に先駆けて、デジタル化しようとお考えなのは、なぜですか?

遠藤さん:いずれは完全にデジタル化されるであろうことは明白なので、ならば他社に先行してやっていこうということです。更に、20代の今の若い人達は、デジタルに対する抵抗感が薄く、タブレットで絵を描くことに抵抗がありません。次世代を担っていく彼らに合わせて考えるのが、賢明であると考えました。

中央と地方、海外の拠点を繋ぐ
制作体系でのサプライチェーン

海外にもスタジオがあるそうですね?

株式会社 旭プロダクション

遠藤さん:中国に、動画仕上げが中心の旭陽動画(無錫旭陽動画制作有限公司)という子会社をつくりました。

古家さん:東京で素材をスキャニングして取り込んだデータを中国でプリントアウトして、現地の人間が動画や二原(第二原画※1)といった作業を行っています。

遠藤さん:今後は、デジタル作画を中国でもはじめる計画です。

※1 レイアウト、レイアウト修正、第一原画、修正をもとに原画を清書すること 。

東京と地方、海外の拠点、それぞれの役割と連携については、どのようにお考えですか?

遠藤さん:中央集中型で、全ての機能を中央に置いてオペレーションしていくことはコストの面で問題があります。中央と地方、海外が連携しながら、それぞれの役割の中でいかに効率化していくかを考える必要があります。そういった考えの下、東京本社は、東京でなければ務まらない仕事、いわゆるプロデュースとディレクションや営業といった機能をこれまで以上に強化、拡大していく必要があります。逆に、オペレーション機能に関してはデジタル化によって効率化し、場所を選ばないというメリットが出てきたときに、白石スタジオをオペレーションのハブとして、ヘッドクォーター的な役割を担わせ、そこから海外でのパーツ制作に繋げていくことになります。こうして会社全体の最適化を図り制作体系においてのサプライチェーン ※2 を考えております。

※2 原料の段階から製品やサービスが消費者の手に届くまでの全プロセスの繋がり。

制作体系でのサプライチェーン?

株式会社 旭プロダクション

遠藤さん:いわゆる流通の用語で使うSCM(サプライチェーンマネージメント)を制作の世界にあてはめてやっていった方がいい、それを可能にするのがデジタルではないかと考えています。ある意味、机上の理論では、すぐに実現できるシステムになる様な気がするのですが、まあ、実際はそう簡単にはいかないのが現状です。それは、ジャパンアニメが、アナログの歴史とともに長く支持されてきたこと、紙に描いてきたクリエーターの努力の積み重ねこそが、今のジャパンアニメの人気に通じているからで、それを一気にデジタルに移行できるかというとそれはまた別問題で、難しい。ただそれでも今までと変わらずアナログ体制にしがみつくのではなく、少しずつデジタル化を進めて、今まで以上に効率を向上させるかわりに、本来のクリエイティブの部分にもっと時間を使うことが出来れば、オペレーションで効率化した部分をクリエイティブに注力することが出来れば、今まで以上にクオリティの高い作品が出てくるんじゃないかと思うんです。

地方のクリエイターに新しいワークスタイルを提案

株式会社 旭プロダクション

では、今後も、国内外に拠点展開していく予定ですか?

遠藤さん: リアルな拠点として地方スタジオを設けるには、実際そこを用地買収したり、人を集めたりという事に相当コストがかかります。また、デジタル化が進む中、リアルなスタジオを作ることに意味があるのだろうかという疑問もあります。
今後、1、2箇所は、新たなスタジオが出来るかもしれませんが、白石スタジオと地方のクリエイターをデジタルで繋ぎ、地方のクリエイターの力を活用をしていきたいと考えています。

古家さん:可能性は未知数ですが、小規模からでも実現していければと思います。
そのためには、私達、旭プロダクションとしての考えというものを、まず分かっていただき、制作物を渡すだけではなく、何らかの形で私達の制作体制と理念を共有する方と一緒に仕事をしたいと思います。

遠藤さん:まあ全てネット上のコミュニケーションで完結出来るわけではないので、そこが重要ですね。

では、一緒に働く方には、具体的に、どういった事を求めますか?

遠藤さん:弊社の経営理念「クオリティの高いアニメーションで人々に感動を与えて幸せにする」に共感してくださるクリエイターの方と一緒に仕事をしていきたいなと思います。
チャレンジ精神があるとか、新しい作品を作りたいという気概のある方。そういうモチベーションの高い方と一緒に仕事をしたいなと思いますね。

古家さん:プロダクションとして、弊社は撮影では一流ですが、制作としてはまだまだ大手に及ばないので、一緒に同じ階段を上って行ける人。こういう作品を作りたいんだ。こういう旭プロダクションのブランドを作りたいんだという人だと、私達も一緒に仕事をしていて楽しいですからね。あとはもう社会人の自覚と、同じプロジェクトでやっているということを意識しているかどうかですね。

遠藤さん:そうですね。チームワークを考えていただかないと駄目ですね。それとまあプロ意識ですね。

実現すれば、地方のクリエイターに新しいワークスタイルを提案することができますね。

遠藤さん:そうですね。例えば、関西地区のクリエイターに動画の部分をやってもらって、それを白石の方で受け取って最終工程にもって行くとか。幸か不幸かアニメ業界は、かなり分業化されていまして、そのパーツごとに発注できるので、そこで見合った工程があれば発注したいですね。

古家さん:そこで問われてくるのがクリエイターのモラルです。東京だとまだ顔が見えるので、相手に対する意識が出てきますが、それが地方になって希薄になり、更にデジタルになって顔が見えなくなってくると、更に希薄になる。そこはある意味デジタルの持つデメリットになります。

自分たちの作品を創って、自分たちで発信し、事業化していく
「第2創業期」

ネットを使って全国のクリエーターと作品を作っていくとは、すごい構想ですね。

(左)制作本部長 兼 第2制作部長 遠藤 修一 氏、(右)制作本部 作画スタジオ 課長 古家 弘康 氏

(左)制作本部長 兼 第2制作部長 遠藤 修一 氏、(右)制作本部 作画スタジオ 課長 古家 弘康 氏

遠藤さん:アニメ制作会社は、従来、受託制作の仕事をやってきましたが、「第2創業期」を迎えた弊社では、今までの受け一辺倒の仕事ではなく、自分たちで作りたい物を作って、自分達で発信し、事業化していくというスタンスに切り替えていくことを目指しています。そういった考えがベースとなって、制作のデジタル化があります。デジタル化というとどうしても、効率化とか省力化にスポットが当たりがちですが、逆に言えばこれからはデジタルのみの表現とか、デジタルのクオリティの高さでの勝負を目指していかなければならないので、デジタルで今までに無い表現で仕上げていくことを目標にしていきたいと考えています。

古家さん:弊社のプロダクションは撮影もあれば、CGもある、作画もある、制作体制もある。この4本の柱をデジタルという横軸で1本指すことで、他社に負けない制作体制になると思います。

10年後の旭プロダクションはどうなっていますか?

遠藤さん:プロダクション機能を持つ強みを活かしグローバルに展開する世界的な企業、グローバル・アニメスタジオを目指したいと考えています。世界中から発注や事業開発の話を受けたり、日本で開発したコンテンツを世界に発信したり、10年後は、そんな企業になっていたいと思います。
また、「アニメーション制作を通じ、人々に夢と希望を与え、愛される企業を目指します。」という理念の通り、関わった全ての人、お客様だけでなく、我々と一緒に仕事をするクリエイターや旭プロダクションの社員も含めて、皆がハッピーになる様な会社になっていればいいなと思いますね。

取材日: 2016年8月9日
取材: クリエイターズステーション編集部

株式会社 旭プロダクション

  • 代表者名 : 代表取締役社長 山浦 宗春
  • 設立年月 : 1973年6月
  • 資本金 : 6,160万円
  • 事業内容 : アニメーション、CGI等各種映像の企画・制作・撮影
           CF、TV番組、映画、企業PR、Web等の企画・制作
  • 所在地 : (本社) 東京都練馬区関町北二丁目2番10号
          (第一制作部)東京都練馬区関町北一丁目23番10号 井口ビル4階
          (第二制作部)東京都練馬区関町北二丁目27番5号 赤城ビル2階
          (作画スタジオ)東京都練馬区関町北二丁目27番5号 赤城ビル1階
          (白石スタジオ)宮城県白石市字亘理町37-3 白石市情報センター/アテネ内
  • URL : http://asahi-pro.co.jp/
  • お問い合わせ先 : 上記HP内の「お問い合わせ」より

株式会社東北ドローン

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株式会社東北ドローン

近年、テレビやインターネットで話題になっている小型無人飛行機 「ドローン」。空を飛ぶ小さな機体を見かけたことがある方は多いと思いますが、その実態はどんなものなのでしょうか?今回取材したのは、ドローンの可能性と魅力を伝えるため、(2016年)7月29日、仙台市扇町に設立されたばかりの株式会社東北ドローン。代表取締役の桐生俊輔(きりう しゅんすけ)さんは広告代理店での営業経験を経て、同社の代表取締役としてドローンが当たり前に活躍する世の中にするため、練習場運営や操縦士育成など幅広い事業に取り組んでいます。気さくで活動的な桐生さんに、会社設立までの経緯やドローンへの思い、今後の展望など興味深いお話を伺いました。

初めてドローンを飛ばした時の感動を、多くの人に伝えるために

7月に起業されたばかりとのことですが、まずは設立までの道のりを教えていただけますか?

株式会社東北ドローン

私は仙台市出身ですが、昨年の6月まで岩手県盛岡市の広告代理店で、9年ほど営業の仕事に携わっていました。もともと子どもが小学校に入学するタイミングで仙台へ戻りたいと考えていたこともあり、仕事も一区切りついたので退職して仙台へ戻り、個人事業主として広告の営業代行業をしていました。そんな中でドローンを使った仕事に関わるきっかけがあり、実際に撮影した映像を初めて見ました。その映像の美しさにとても感動したのと同時に、「これはうまく活用できる!」と確信しました。それから、操縦士の技術認定資格を取得し、たくさんの情報を集め、その中でドローンに興味を持っている仲間たちと知り合いました。彼らと接する中で、飛ばせる場所がわからないなど、ドローンに関する情報が世の中に十分に知れ渡ってないことに気づいたんです。そこで同じ思いを持った仲間と、練習場を提供したり、操縦士を育成する側になろうと、今年7月29日に株式会社東北ドローンを設立しました。

やはりドローンに初めて触れた時の思いが、会社設立への原動力になったんですね。

そうですね。自分が住んでいる街を空から俯瞰した時の感動、普段は見上げるばかりの高層ビルや慣れ親しんだ街並みを、別の角度から見られた時の発見。そのすべてが新鮮で、自分が初めてドローンを飛ばした時の感動を、たくさんの人に味わってもらいたい。そして、飛ばせる人(操縦士)と飛ばしたい人(企業)を繋げる存在になりたいと思ったのです。

あまり知られていないドローンの基本的な知識

実際に操縦するにあたって、何か特別な資格が必要なのでしょうか?

今現在、車の運転免許のような操縦士資格というものはドローンには存在しません。様々な企業様や団体様で独自の認定資格というものがありますが、必ずしもそれが必要というわけではないのです。ただ、昨年12月10日に国土航空省の航空局が航空法を改正し、これまでオモチャのような存在だったドローンが「無人航空機」として認定されました。少し難しい話になりますが、認定されたことにより、飛行領域を制限され、人口密集地をはじめ、空港やヘリポートの近くは飛ばせないなど、数多くの飛行制限が定められました。例えば、私は国土交通省が定める日本全国の飛行禁止空域を独自の飛行マニュアルに基づいて人や物件の安全を確保した撮影の飛行のみを許可されましたが、誰かが所有する土地で勝手に飛ばすわけにはいかないので、必ず許可を取るようにしています。簡単にまとめると、どこでも自由に飛ばしていいという訳ではないということですね。

ドローンのスペックや種類について、簡単に教えていただけますか?

ドローンにはオモチャのような機体から産業用まで、幅広い種類があります。例えば、私は空撮用のドローンを愛用していますが、限界高度は6,000メートル、手ぶれ補正付の4Kカメラ搭載、画像は機体のSDカードに保存されます。4Kカメラで撮影された画像は、想像を遥かに超える美しさで、なかなか編集できるスペックのパソコンがないくらい鮮明です。リチウムポリマーバッテリーという有能かつ、慎重な取り扱いが必要とされる大容量のバッテリーを使用し、最新のセンサー技術により機体の姿勢を保つなど、とても高性能な構造になっています。話すと長くなってしまうので、とても簡単な説明ですが、なんとなくイメージしていただけますか。

左、代表取締役 桐生 俊輔さん。右、取締役 櫻井 誠さん。

左、代表取締役 桐生 俊輔さん。右、取締役 櫻井 誠さん。

練習場運営・操縦士育成・イベント企画の3事業を展開

現在の事業内容について、お話いただけますか?

まずは大きく3つの事業内容に力を入れています。1つ目はドローンを飛ばせる練習場の運営です。先ほどお話しした通り、ドローンを飛ばすにはいろんな制約があるので、まずはドローンを飛ばしたい人が何も心配なく飛ばせる場所を作りたいと思い、宮城県黒川郡大和町(たいわちょう)に「ドローン専用練習場ブーメラン」がオープンし、そこの運営を東北ドローンで受託しました。ここでは通常の飛行以外にも、夜間飛行、目視外飛行(目に見えないところでの飛行)の練習ができるように国土交通省へ練習用の許可を受けることも可能で、思う存分、飛行練習ができます。2つ目は操縦士育成のための講習です。ドローンの飛行には操縦方法や飛行場所など、法律を勉強しないといけませんが、つい忘れがちな取り扱い方法にも注意が必要です。以前、私もドローンで手をざっくり切る大ケガをしたことがありますが、多くの操縦士がケガの経験を持っています。小さく見えますが、プロペラは鋭く回転しているのでとても危険なんですよ。ですから、扱い方についても詳しくレクチャーし、東北ドローンの講習認定を受けたという証明を作りたいと思っています。そして3つ目はイベントの企画です。ドローン体験会など、誰もが気軽にドローンに触れられるきっかけを作りたいと思っています。まだ設立して間もないので、最初のステップとしては、この3つになりますね。

御社がドローン事業を進める最大の目的はなんでしょうか?

ドローン産業に関わる人材と企業様を増やすことですね。今現在、ドローンを扱う人は圧倒的に少ないですし、運用するための法律も難しいですが、ドローンには大きな可能性と魅力があります。美しいものを撮影するだけではなく、災害救助の場でも役に立つんですよ。東日本大震災当時、津波で流されて、夜通し助けを待っていた方が多くいらっしゃいました。そんな時に何百台かのドローンを飛ばして、助けを待っている人をいち早く発見できていたら、救助の手が早く届いたと思います。災害は昼夜問わず、いつ起きるかわかりません。そのために、夜間飛行や目視外飛行も難なくこなせる操縦士を育成して、いろんな場面でドローンが役に立つパートナーになれたらと思います。

株式会社東北ドローン

目標はドローンが当たり前のように活躍する時代づくり

これからという時だと思いますが、ぜひ今後の展望について聞かせてください。

ドローンが当たり前のように使われる世の中にしていきたいです。かつて「なにこれ?」と思われたスマートフォンが当たり前になったように。今は空撮や測量、調査の現場に使われるのが一般的ですが、操縦士が増えることで、今はまだ考えられないような使い方も増えていくと思います。例えば、まだまだ試行錯誤が必要ですが、働く方の多くが65歳以上(平均は67歳)の農業分野において、若い世代がドローンを使って農作物を管理できるような「スマート農業」を提案するなど、いろいろな人たちに操縦士になっていただき、幅広い運用をしていただきたいです。とにかく、ドローンに興味を持っている方を大募集しているので、少しでも興味があるという方はホームページに記載のメールでも電話でも、気軽にご連絡いだけたらうれしいです。

最後に桐生さんが大切にされていることや、若い世代のクリエイターへメッセージをお願いします。

何も考えないでやってみても、意外となんとかなるものです。と言うといい加減に思えますが、先々をシミュレーションし過ぎて、初動が遅れるのはもったいないと思うのです。ある程度準備をしたら、まずはやってみるかという気持ちも大切ですよ。私もセミナーへ参加したり、多くの本を読んだりして、先人たちに学びますが、それを参考にしつつも頭でっかちにならないように、先人たちの教えを自分なりに解釈して、ビジネスの役に立てています。やってみたいことがあれば、ぜひその一歩を踏み出してくださいね。あとは私が活用している方法として、暇さえあれば商工会・国民金融公庫のセミナーに出かけていろいろな方々と知り合い、なるべく相手に負担をかけず、気軽に情報を共有できるSNS(Facebook)で連絡して繋がりを作ることです。人脈は財産になるので、ぜひ出会いを大切にしてくださいね。

取材日: 2016年8月17日
ライター: 桜井玉蘭

株式会社東北ドローン

  • 代表者名(よみがな): 代表取締役 桐生俊輔(きりゅう しゅんすけ)
  • 設立年月: 2016年7月
  • 事業内容: ドローンでの空撮、ドローンパイロット育成、ドローン練習場運営、ドローンマッチング事業など
  • TEL: 022-290-0801
  • URL: http://www.tohoku-drone.jp/

株式会社ティー・オー・エム

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株式会社ティー・オー・エム

今回訪問した株式会社ティー・オー・エムは、創業20年を迎えるデザイン会社です。カタログやチラシ、ロゴといったグラフィックデザインを中心に、WEBデザインやイベントの企画・運営までを行なっています。取り引き先は、大手メーカーや官公庁、広告代理店と多種多様。最近では、オリジナル商品を展開して、個人のお客様との取り引きも広げています。ここでは、他社で活躍していた凄腕デザイナーが、楽しく仕事をしているといいます。その理由はどこにあるのか、また自社商品についての展開などを代表の長谷川さんに伺いました。

グラフィックを中心に、イベント企画・運営も行なう会社

まずは業務内容を教えてください。

設立当時の20年前からグラフィックデザインを中心にやっています。不動産のパンフレットやチラシが多いですね。

ホームページを拝見しますと、WEBだけでなくイベントの企画・運営もされていますね。

デザイン事務所にしては珍しいと思います。多角的なことをやらせていただいているので、案件によってはワンストップですべてお任せいただいています。営業担当がいることで機動力もあります。

過去に携わった仕事の一例をお聞かせいただけますか。

住宅センターのイベントでは、イベントの企画、それに関する印刷物のデザイン、外部の協力会社による設営に至るまで、代理店と協力して手掛けました。設営に関しては、弊社スタッフのつながりから実現するなど、外部に多くのブレーンを抱えています。変わった仕事には、会社の慰安旅行の余興イベントをお引き受けしたこともありますね。レクリエーションを考え、デザイナー全員がイベントスタッフとして参加しました。

一般消費者向けの商品「ナゴコロゴ」に注目!

株式会社ティー・オー・エム

最近では個人のお客様に対しても力を入れていらっしゃるそうですね。

「チラデザ」と呼んでいるチラシデザインです。5,000円からという格安の価格で提供させていただいています。

破格の安値で展開できる理由はどこにありますか?

通常、デザイン業務は修正が多く発生します。「チラデザ」では、修正の回数を決めることで安価な提供を実現しました。単価は安いですが、スタッフの修正業務量を減らしているわけです。

名前をオリジナルのロゴにする「ナゴコロゴ」という商品も魅力的ですね。

名付けの由来、希望のイメージなどを聞きだし、世界でひとつのオリジナルロゴを制作します。漢字とローマ字の2バージョンを作成し、はんこ、シール、キーホルダー、コンセプトカードをセットにしたパッケージで販売しています。

赤ちゃんが生れた時の命名書代わりにもいいですね。商品誕生のきっかけを教えてください。

ロゴの得意なデザイナーがいて、私の娘の名前のロゴを作ってくれたんです。とても良く出来ていていたので、商品として実現できたらいいねと話していました。日々の業務に追われ、なかなか着手できなかったのですが、ようやく始動できたところです。

企業ロゴではなく、個人名が対象になりますか?

はい。BtoBではなく、BtoCをやってみたいというところからスタートしました。クリエイティブという大きなくくりの中であれば、「ナゴコロゴ」のように社外の人とコラボすることもあるし、趣味をビジネスにしていくことも考えています。様々な分野に挑戦していきたいですね。

株式会社ティー・オー・エム 株式会社ティー・オー・エム 株式会社ティー・オー・エム

各自の能力を活かして、多様なジャンルの創作を!

会社として一番大切にしていることは、何ですか?

株式会社ティー・オー・エム

人ですね。クリエイターが能力を発揮しやすい環境を作るように気を付けています。物理的な環境、精神的な面の両方です。やりたいことがあれば、会社として応援するようにしています。

他社で活躍されていた敏腕デザイナーが集まり、チームワークがいい会社だと伺いました。その秘訣を教えていただけますか。

性格の悪い人は採用しないことです(笑)。人柄重視ですね。問題のある人は、自然と辞めていきます。最近、社員の紹介で若いスタッフが入社しました。自分の会社に知人を入れることはハードルが高いですよね。この会社に満足してくれているのかなと感じて、うれしかったですね。

クリエイターを大切にされているんですね。

以前、よくあったのが、社長自身がデザイナーでもある会社。そうした会社は、社長がクリエイティブな面を保ち、そのもとで作業をするといった体制のところが多いです。社員ではなく弟子のような立場です。そうした師弟関係のような時代は、終わったのかなと思います。弊社では、なるべくクリエイター個々の個性を活かすようにしています。今は、グラフィックにこだわらず、webや映像など新しい分野を模索中です。

具体的には、クリエイターにどのようなことを望みますか?

クリエイティブという軸はぶらさずに、いろいろ挑戦して欲しい思います。デザインを究めるのではなく、クリエイターとして自立していくためには、どういう方向を向いていくのかを自分で考えて欲しいと思いますね。デザインが上手くなることだけを目指していては、長いスパンで物を見たときに通用しないですから。

9月にはオフィスが移転し、心機一転です。これからの展望を教えてください?

クリエイティブで稼ぐ会社であり続けたいと思っています。クリエイターが思う存分、力を発揮でき、楽しく働ける会社でありたいです。

取材日: 2016年9月5日
ライター: 石崎幸子

株式会社ティー・オー・エム(TOM)

  • 代表者名: 代表取締役 社長 長谷川渉(はせがわ わたる)
  • 設立年月: 1996年5月
  • 資本金: 1,430万円
  • 事業内容: WEB(ホームページ)制作、各種広告出版物のデザイン、イベント等の企画制作
  • 所在地: 名古屋市中区丸の内3-6-27 EBSビル4F
  • URL: http://tom-ad.com/
  • お問い合わせ先: 052-253-7751

有限会社イビ

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有限会社イビ

選りすぐりの北海道食品を、年間1,000回を超える全国の催事で販売している有限会社イビ。力を入れ始めたカタログ制作のクリエイティブと、今後の課題・展望について、代表取締役、滑川鎌一郎(なめりかわけんいちろう)さんにお話をお聞きしました。

「北海道の素晴らしい海産物・農産物を全国に届ける」ことを
命題として

有限会社イビ

御社の事業内容を教えてください。

一言でいうと、海産物をはじめとする北海道食品の卸・製造販売です。様々な販売チャネルの中でも創業から一貫して一番大きなウエイトを占めているのが、百貨店での催事販売です。全国の百貨店での北海道物産展やその他イベントなどで、北海道の美味しい食べ物を全国の皆さんに楽しんでいただいています。その他にも折り込みのカタログ通販や、webショップ運営なども行っています。

滑川社長は、いわゆる「創業社長」ではないのですよね?

私は元々商社、水産会社、メーカーの営業を行っていた経験がありました。その後現在のイビとご縁があってイビに入社することになりました。それが2011年、その翌年の2012年に代表という役職に就かせていただきました。

そもそもはどういう商材からスタートしたのでしょうか?

前社長が、東京でタラコや明太子などを中心に北海道食品の卸・販売を行っていたのが今の会社のベースです。2004年に、独占的に販売していた「じゃが豚」という商品がテレビ番組で紹介されて大ヒットしたのをきっかけに法人化し、本社機能も東京から札幌へ移転しました。

「行列のできる法律相談所」ですよね。当時かなり話題になりましたね。

私が入社した頃は催事販売のみを淡々と行っている会社だったのですが、そういった追い風もあり、「色々新しいことをやってみようぜ!」と百貨店顧客向けのカタログ通販を始めました。これは、折り込みチラシとして百貨店のカタログと一緒に配布してもらっています。催事商品以外の商品ラインナップが大幅に増え、それに伴って仕入れ先など取引先も増やすことができました。同じように折り込みをしているメーカーさんもいくつかあるようですが、北海道の食品に特化しつつもこれだけバラエティに富んでいるところはなかなかないと、色々な百貨店さんから継続的に声をかけていただける企画になりました。

催事での商品認知をきっかけに
直売機会の拡大を目指す

北海道物産展の盛り上がりはいかがですか?

現在、催事は年間1,000回ほど行ってはいますが、売り上げも含めて年々厳しくなっているというのが現状です。若者は百貨店離れと言われ、百貨店=ステータスだった時代も変わり、百貨店の閉店も相次いでいます。昨年催事を行っていた百貨店が今年はもう無いとなると、その売り上げがすっぽり抜けてしまうわけですからね。私たちの商品を販売する場が減っている状況には強い危機感を感じています。

一方で、折り込みカタログでの通販は同じ百貨店という市場の中でも、別の角度からのアプローチになり得ていると感じています。同じ百貨店に来店される同じお客様でも、物産展と通販では求めるものが全然違いました。物産展での売れ筋はギフトやちょっと贅沢品なのに対し、通販では完全に自家需要の日配品。常温保存できる魚の切り身やドライフルーツなど、こちらでは思いもよらなかったものが人気だったりします。通販では商品の見せ方一つで売り上げが大きく左右するので、写真やコピーなどのクオリティにも力を入れるようになりました。昔は写真も自分たちで撮っていましたが、ここにしっかりリソースをかけるべきだとフェローズさんに提案されましてね(笑)。“北海道ブランド”をさらに大きく打ち出すという方向性もそうです。誰に何をどのように提案するのか。試行錯誤、スクラップアンドビルドを繰り返しながらカタログの精度を高めていくのは、催事の運営とはまた全く違う発想の仕事です。

※フェローズは、クリエイティブ専門の人材マネジメント会社であり、また、クリエイターズステーションの運営会社です。

Webショップの状況はどうでしょうか?

現在、自社ページの開設と楽天市場にも出店をしていますが、恥ずかしながら正直全く手をかけられていません。売上も増えもせず減りもせず……という状況です。利用者は百貨店の催事で商品を気に入ってくださって検索してくれた方や、昔からのお得意様などリピーターの方がほとんどです。定期的に大量購入してくださる方が多いので、本当はその方たちに対してもっときちんとアプローチをしたり、顧客データの分析をしっかり行ったりしたいと思っているのですが、サイトの作り込みも含めて人材不足も相まって手を付けられていないので、チャンスロスしていると思います。マーケティングからwebショップの運営までできる管理者を探しているところです。こちらもフェローズさんに依頼中です(笑)。

Webショップの伸びしろは大きいということですね。

催事や百貨店の折り込み通販で購入してくださったお客様は、基本的にはその百貨店の顧客なので、その後、直接ご連絡をすることはできません。しかしそこで商品を知っていただき、直接購入のお問い合わせをいただく方も少なからずいるんですね。そういった方たちをお得意様としてしっかり捕まえておくための仕組みづくりが、webも含めて今の弊社の大きな課題ですね。その取り組みの一つとして、現在展開中の折り込みカタログを自社顧客へ配れる形へバージョンアップさせることも検討中です。折り込み用はタブロイド版ですが、こちらはきっちり冊子のタイプにしたいと思っています。通販だけでなく、営業スタッフの営業ツール、コミュニケーションツールにもなるような、弊社の魅力が詰まったカタログにしたいとワクワクしながら考え中です。

クリエイティブとブランディングの強化を足掛かりに、
新たな事業展開を

今後新しく取り組もうと考えてることはありますか?

現在準備中の「北海道七福」のロゴマーク

現在準備中の「北海道七福」のロゴマーク

現在は催事でも、webショップでも、セレクトショップ的な立ち位置で商品を販売しています。Webショップの屋号「北海道一直売」、塩干商品の「いぶき」、海鮮弁当の「兆(きざし)」、ゼリーの「フリュイテ ドゥ ノルド」などブランドも複数にまたがり、整合性が取れなくなってきています。コンセプトも多様化しているので、お客様にわかりやすく、伝わりやすい売り場づくりを目指して、ブランドの統一化を考えています。

具体的にはどのようなことを考えていらっしゃいますか?

北海道の美味しいものを食べて幸せになってもらいたいという思いを込めて、「北海道七福」というブランドの立ち上げをきかく準備中です。七福神はそれぞれ7種の幸せや福を、宝船は売り場を表し、北海道の海を越えて商品や接客でお客様に幸せと喜びを運ぶ、というのがコンセプトです。キャッチコピーは「食べる門には福来る」。世界に誇る北海道の食材、商品を全国の皆さんに知っていただき、ご縁が長く続くことで我々販売者や生産者もともに発展し続けることを目指しています。今後は催事やwebでもこのブランドで統一して展開していきたいと考えています。まだ途中ですが宝船をモチーフとしたロゴも制作中ですよ。こちらもフェローズさんに提案していただいて進めています。手前味噌ですがなかなか良いものになっていると思いますよ。

実店舗を作る計画はありますか?

それもまだ構想の段階ですが考えています。一応、札幌中央市場内に「(有)イビ」のお店がこぢんまりとはあるのですが、ブランディングがしっかりできれば「北海道七福」の名前で札幌市内や首都圏に旗艦店となるようなお店を出したいです。特約店に販売をお願いしている催事は、どうしてもある程度の制約があります。販売スタッフも全員自社社員の直営店で、経営側と現場が一体になってブランドづくりをしていきたいという思いがあります。

ブランドの立ち上げは時間と手間がかかりますね。

マーケットや販売チャネルの新規開拓や新しい分野への挑戦など、新しいことを考えるのは楽しくも難しいものですが、事業を広げていくときに、クリエイティブがこんなにも有効な武器になるとは思っていませんでした。私たち催事屋業界ではやはり現場で売ってなんぼという考え方が中心ですから、そこはどうしても後回しにしがちだったのです。もっともっと勉強をしてクオリティを上げ、他社さんから一歩抜きんでていきたいですね。弱者の法則じゃないですが、私たちのような小さな企業だからできること、ニッチな分野でいいので、何か1番になれるものを見つけたいと思っています。それが何なのか、今まさに模索しているところです。お客様に喜んでもらうのはもちろん、社員や仕入れ先、取引先にも認められる……。「あそこと組めばうまく売ってくれる。何か面白いことが一緒にできる。」そんな風に思ってもらえる企業になりたいと思っています。

取材日: 2016年9月8日
ライター: 小山佐知子

有限会社イビ

  • 代表者名:滑川 鎌一郎
  • 設立年月:2000年6月
  • 事業内容:北海道食材の卸・製造販売業、惣菜、海産物の加工製造
  • 所在地:北海道札幌市西区二十四軒1条1丁目3-1
  • URL:http://www.hokkaidou-bussann.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記HP「お問い合わせ」より

株式会社ジャパングルメ

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株式会社ジャパングルメ

食品全般の卸売業に携わる株式会社ジャパングルメ。
取締役の武内隆一さんは、中小企業や農家に、さまざまな販売先を紹介する仕組みを作りました。
中小企業では、努力を重ねて誰もが絶賛するほどの素晴らしい商品を作っても、販路を見つけられないことが少なくありません。ジャパングルメでは、こうした全国各地の知られざる名産品を、表舞台にお披露目する場所を提案しています。
そしてこの秋、その大舞台となる「47都道府県応援隊」企画が発動。各県より発掘された47の名産品を47人の女の子が応援し、販売します。来春には女の子たちの「総選挙」なるものが、開催される予定です。
さて「総選挙」には、いったいどんな仕掛けがあるのでしょう?
エンタメと地方創成がコラボする、斬新なプロジェクトの全容と、企画を立ち上げたジャパングルメの目指す未来について、お話を伺ってきました。

写真:(左)代表取締役 武内 希弥氏、(右)取締役 武内隆一氏

世に出られずにいる素晴らしいものを、
少しでも表舞台に出してあげたい

取扱商品の一部。

取扱商品の一部。

会社設立のきっかけを教えてください。

どれだけ良いものを作っても、世に出ない商品はたくさんあります。
それらを少しでも表舞台に出してあげたいという想いから、この会社を立ち上げました。
さまざまな中小企業、農家、メーカーの方が抱えておられるのが、販路の問題なんです。

今はWEBや、催事、展示会など様々な販売の機会があるように思うのですが。

まずネット通販にのせても、本当に売れるのはとてもわずかです。実際は広告費を払って宣伝しなければ、大手通販サイトの上位には掲載されませんし、宣伝費をかけた分、利益の回収は厳しくなります。
WEB制作を依頼しても、思い通りの結果が出ないことも多いです。しかも対応が丁寧な会社ほど費用が高い。
また各県には物産協会があり、百貨店で物産展を開いていますが、場所の提供だけで、商品ごとの販売促進まで考えてはいません。
そして百貨店には外商、カタログなど様々な売り口があるものの、実績がある方が優先されます。専門知識のない方に、一から教える手間をかけたくないのですね。つまり挑戦したくても、出店できない現実があるのです。

なるほど、では御社はそうした悩みを抱える中小企業に、販路を紹介されているのですね?

「これからは運営のスタイルを変えませんか?」という提案の1つとして、販路を紹介させてもらいます。
というのもこういった中小企業の方々が作った商品は、エンドユーザーにお値打ち品を提供しようと、原価を高く、売値を低くするので、利益がほとんどありません。すると問屋が入れないんですね。お客様に良かれと思ったことで身動きが取れなくなるのです。
やがて賞味期限が迫り、安売りするという負のスパイラルから抜け出せません。
こうした状況を打開するためにも、売り先を見つけ、原価、売価、利益を計算して、物を作りましょうとお話しています。

私たちが販路を開く間に、お客様は得意分野に専念していただく

「47都道府県応援隊」でのイベント

「47都道府県応援隊」でのイベント

現在の事業について、販路先はどのようなところでしょうか?

百貨店、スーパー、駅ナカの催事、TV通販、ラジオ通販、カタログ販売、各業界で多数の企業様と取引があります。
あらゆる販路を紹介できる会社になりたいですね。なぜならそういう会社は、たとえ弊社でなくても必要だからです。
また弊社の運営する通販サイト他、計4つのECサイトもご利用いただけます。これらは告知や情報拡散のために使おうと考えていて、販売より「看板」の要素が強いですね。

ジャパングルメさんを利用するメリットはなんでしょうか?

百貨店に出店したくても、農家一軒では難しいですが、弊社を通すことで農家が集まり、可能になります。また、私たちがいただく報酬は低く設定していますので、経済的です。
なにより私たちが販路を開く間、お客様は自分の得意分野に専念していただけます。物づくりは得意でも、それを売るとなればまた別のスキルなんですね。
中小企業では人がいないなりの考え方が必要ですし、商品のジャンルや販売先によって、売り方はもちろん、保健所申請など手続きも変わります。それらを一から取り組めば時間もかかりますが、私たちであれば適切なアドバイスができます。

農家と中小企業の、営業代行という位置づけになるのですね?

はい、お客さまを売り先に引き合わせて終わり、ではありません。
例えば経費の掛かる百貨店の催事に入った後は、人件費のかからないカタログや通販と差替えて、出費のバランスをとるなど、次のステップとして企業ごとの特質や予算にあった提案をしていきます。
また、販売に関する基本的な説明会を開いたり、商品管理、賞味期限管理など販路別カルテを作ったり、必要な運営のお手伝いもしています。

中小企業に儲ける仕組みを作ることが、私たちの仕事

地方の販路を探している商品は、どうやって見つけるのでしょうか?

口コミですね。各地で悩みを持たれている皆さんの声が、知りあいを通じて入ってきます。
実は、本当に面白くて良い商品を持ちつつも、販路に困られている方たちが一番親しいのは、いわゆる一般の方、皆さんや私たちなのです。友達の友達が農家だったとか、友達の親が食品会社を経営しているとか、意外に見つかるものですよ。

順調に活動されているようで、苦労とは無縁のように見えますが?

苦労というか、限られた予算の中で、どうやって満足できる仕事ができるか、を考えてきました。
どこに資金をつぎ込めば、効果的な経費となるのか、中小企業における最大のポイントではないでしょうか。
ここをクリアできないと悪循環になります。僕たちが、農家の方や中小企業の方たちと低価格で契約するのも、この悪循環にはまらないようにしてあげたいからです。
大事なのはお金をどう回すかであり、儲けている人というのは、自分の時間をどれだけ儲ける仕組みにするか考えています。中小企業にこの儲ける仕組みを作ることが、私たちの仕事なんですね。

大企業や中小企業が共存共栄できるような世の中にしたい、
という同じ思いが集まった

47都道府県応援隊のイベントが2016年9月21~27日まで、大阪、あべのハルカスで開催される。 http://www.47japan.com/

47都道府県応援隊のイベントが2016年9月21~27日まで、大阪、あべのハルカスで開催される。 http://www.47japan.com/

「47都道府県応援隊」という新たな企画が進行中ということですが、まずこの企画について教えてください。

各県の名産品を「応援する」立場でプロジェクトを組んでいます。
まず1つの名産品に対して1人の女の子が応援隊として付きます。彼女たちは単なるイメージキャラクターにとどまらず、担当の名産品を宣伝するのはもちろん、販売し、売上を伸ばす役目を担うのです。そうした女の子を、47都道府県に配置します。
CDを買って投票する、アイドル総選挙の企画がありますよね。今年の1位は24万票あまりを獲得しましたが、それだけで2億4,000万円ものお金が動いたわけです。このCDを食品に置き換えたらどうなるか、やってみたかったんですよ。それこそ本当の国民的アイドルだと思いませんか?

思い切った企画ですね。具体的な内容はどのようなものでしょう?

今年(2016年)、9月にあべのハルカスでイベントを開きます。各都道府県の名産47種類をお披露し、それを応援する47名の女の子たちと、「47都道府県応援隊」企画の宣伝大使であるアイドルグループ「仮面女子」が来てイベントを盛り上げます。
「47都道府県応援隊」の女の子はオーディションサイトの「mine」(https://mine-g.jp/audition/)という会社から、ユーザーの課金投票で選ばれ、今後TVや雑誌などのメディアに登場したり、担当する名産品の産地を訪れたりして、販売促進活動を行います。
ツイッター総フォロワー数300万人、フェイスブック500万「いいね!」、Youtube 2,200万再生の記録を持つ「仮面女子」が宣伝大使として応援する他、約100名のブロガーがPR発信をして、応援隊女子の活動をネットに拡散し、この活動を宣伝してくのです。
そしてみなさんが彼女たちの売る名産品を買い物すれば、担当の女の子に1票投票されることになります。
この商品も「1次産業に携わる人によって作られたもの」、「こだわりを持って作られたもの」の2点をできるだけ選びつつ、意外性や面白さを追求したいですね。まだあまり知られていない商品を、お披露目する場になればと思います。

発案から2か月で企画が実現したそうですが、なぜ可能だったのでしょうか?

ひとつは私が考えていたことを、そのまま形にしていたのが「mine」さんだということ。食品とのタイアップもすぐに噛み合って、半年以上かかる規模の企画が2か月で形になりました。
ふたつ目は、本当に多くの協力企業が、迅速に動いてくださったおかげですね。なにより、みなさんが「これまでやりたくてもできなかったことが、できるんじゃないか」「すごく面白そう」と盛り上がっているのが、一番大きな要因かもしれません。
今回は、業界のしがらみにとらわれず自由に挑戦したかったので、あえて中堅層の企業ばかりで企画しました。
だから多分、大企業や中小企業が共存共栄できるような世の中にしたい、という同じ思いが集まったのだと思います。
真剣に頑張っている人をもっと表舞台に出してあげたいなという気持ちですね。

答えがわかっている世の中だからこそ、
何が起こるかわからないワクワクを組み立てたい

インタビューさせていただいた取締役の武内隆一氏

インタビューさせていただいた取締役の武内隆一氏

「47都道府県応援隊」はどのように発展していくとイメージされていますか?

おじいちゃん、おばあちゃんが、こういうアイドルの名前を覚えてファンになる時代が来ると思っています。
もし自分の作った商品を売ってくれるアイドルがいれば、名前を覚えて、その子が訪れる場所に、観光がてら追っかけをする人が出てくるかもしれません。
それに正直、女の子がいると男って頑張るじゃないですか(笑)。 農家や男ばかりの現場も活気が出ますよね。
今回、宣伝大使に「仮面女子」を起用したのも、彼女たちのようなインパクトのある存在が必要だからです。こじ開ける、というか世の中を変えるきっかけを作るのは、やはり女の子だと思います。「応援隊」の女の子たちが、これから周りにどんな影響を与えるのか楽しみですね。
私は、アイドルと農家という、これまで交わらなかったものが交わることで、新しい流れが生まれるのではないかと考えています。
地域創生から雇用問題、ひいては農家の後継ぎや婚活問題、少子化問題までを解決する糸口が、ここにあるとも思います。

今後はしばらくこの活動に専念されるのでしょうか?

はい、そうですね、この企画自体にジャパングルメの目指すすべてが盛り込まれていますから。
この先は、来年(2017年)3月に「総選挙」、続いて売上額を競う「M1」を予定しています。
そうして今回得た収入をもう一度参加してくれた方に還元して、困っている問題を解決したいと思っています。
さらには2020年オリンピックまでに、行政も巻き込んでインバウンド化させ、そこから今度はメディア協力の元、アジアに向けてアウトバウンドさせようと考えています。

狙い通り成功させるには、なにがカギになると思いますか?

ワクワクする気持ちを、みなさんが持てるかどうか、ですね。
今の資本主義では、99.9%の人は貧乏より金持ちのほうがいいと答えます。
でも答えがわかっている世の中って、ワクワクしないですよね。例えば、学生生活の刺激的なあの時代を、もう一度体験できるかどうか。つまり年齢を経た後、若い世代とふれあうことで、再び元気になれるのではないかなと思うのですよ。
だからこそ、何が起こるかわからないことを組み立てたいのです。

取材日: 2016年8月22日
ライター: 東野敦子

株式会社ジャパングルメ

  • 代表者名(よみがな): 代表取締役 武内 希弥(たけうちきみ)
  • 設立年月: 2013年5月
  • 資本金: 1700万円
  • 事業内容: 百貨店・量販店の食料品催事・イベント・カタログ販売・通販などの販路拡大、プロモーション
           食品全般の卸売業、ギフト用商品、PB・OEM商品の開発・販売
           ピッキング業務、配送(宅配)作業代行業務、等物流代行業務
           IT、クラウドサーバー運営、廃校利用、ファクタリング
  • 所在地: (本社) 〒530-0016 大阪府大阪市北区中崎2-3-12 傍島ビル2F
  • URL: http://japan-gourmet.jp
        http://www.event-saiji.jp
  • TEL: 06-6359-0010
  • FAX: 06-6359-7332
  • フリーダイヤル: 0120-920-737
  • TKC(物流センター): 〒518-0504 三重県名張市神屋1866番地
                 TEL: 0595-69-8010、FAX: 0595-69-7332

株式会社SOTO

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株式会社SOTO

ファッションショーの演出を手掛ける株式会社SOTO。代表取締役の尾藤信吾(おとうしんご)さんには「見る人を驚かせたい」という思いが常にあります。その姿勢から生まれる斬新なアイデアは、おしゃれで新しい演出を求めるクライアントを惹きつけ、ファッションから化粧品やクルマ等へとジャンルの幅を広げています。高校球児だったという野球少年時代のエピソードから、ファッションショーの舞台裏に感銘を受けた服飾専門学校時代、SOTO設立のきっかけ、趣味が高じた新事業など、さまざまなお話をお聞きしました。

履歴書をスルーされフリーランスでスタート。
一度も就職せず今に至るキャリア

代表取締役の尾藤信吾さんのフルネーム=Shingo Otoから名付けた社名。ファーストネーム=Sの文字がグレーになっている。

代表取締役の尾藤信吾さんのフルネーム=Shingo Otoから名付けた社名。ファーストネーム=Sの文字がグレーになっている。

SOTOを設立したきっかけを教えてください。

東京にあるファションイベント業界の大手企業に知人がいて、大阪の服飾専門学校を卒業後、その企業に入ろうと履歴書を送りましたが、そのままスルーされて(笑)。その後も、知人からは外注として仕事を依頼され、フリーランスのように仕事をしていました。そんな事があって、その大手企業に入りたい気持ちはなくなりましたが、くやしい思いはありました。逆に向こうから「入ってください」と言われるまでやってやろうという気持ちになりました。3年ほど経った頃、ついにオファーがありましたが、断りました。
ちょうどその頃、その大手企業から独立された方がいて、会社を立ち上げるから一緒にやらないかとお誘いを受けました。25、6歳の頃で、既に僕は業界の中で自分の進むラインを確立できたので「自分でやっていこう」と決めていました。そこで、その会社には所属だけして、金銭面のマネージメントをお願いしました。30歳の頃には、自分一人でやっていく意志がさらに強くなり、完全に独立しました。

仕事をしていく中で、独立への意志が生まれたのですね。

はい、そうです。ファションイベント業界は結構狭い世界で、ショーやパーティーを手がける人達は、ほぼ全員が知り合いで、お互い仕事を手伝うこともあります。そういう業界の中で他の会社と繋がったりして、新しいオファーも来るようになり、自分でやっていけるという、先が見えるようになってきました。
最初は会社を立ち上げず、まずは「TAILwisteria」という屋号だけを付けて仕事をしていました。税理士からのアドバイスもあリ、娘が生まれたことをきっかけに法人化しました。僕が32歳、娘が生まれた年にSOTOを作って、今に至っています。ですから、僕は一度も就職していないんですよ(笑)。企業のルールも知らず、自分のスタイルのまま進んできました。

SOTOの社名やロゴデザインの由来を教えてください。

僕の苗字=尾藤は、普通は「びとう」と読まれますが、「おとう」と珍しい読みなので、会社の名前に「おとう」を使おうと思いました。「SOTO」は「S.OTO」=Shingo Otoから付けています。以前の「TAILwisteria」は「TAIL=尾、wisteria=藤の花」です。親族以外で同じ名前の人に会ったことはないんです。

野球生活の反動でファションの世界へ。
学生時代にショーの現場で毎回ゾクゾク

株式会社SOTO

子供の頃からファッションに興味はあったのですか?

いいえ。フッションへの関心は高校3年生の時からですね。僕は小学校から高校までずっと野球をやってきました。母は高校時代、ソフトボール全国大会優勝チームのキャブテンで4番だったのです。子供の頃は一緒にキャッチボールをしていました。野球の英才教育を受けていた感じですね。高校は寮生活で練習は厳しく、実家に帰れるのはお盆とお正月の2回だけ。甘えないように親との連絡は禁止でした。1、2年生の時はすごくきつくて、3年生の時が一番天下なのですが、ケガでヘルニアになって甲子園に出られなくなった瞬間に、野球への情熱をなくし、あきらめることにしました。男子校で、それまでボールとバットしか見ていなかった自分に新しく見えたのは、可愛い女の子です。寮生活だったので、街を歩くことさえドキドキしていましたから。そこでモテようと思い、フッションを学ぼうと服飾の専門学校に入りました。

反動が大きかったのですね。

服飾のことは何も知らない状態でのスタートでした。でも昔から絵を描いたり、物を作ることも好きだったので、選択肢には、岡山の芸大と大阪の専門学校がありましたが、広島から都会へ出たかったので専門学校を選びました。入ったのはスタイリスト学科です。ファッションショーを手がけるいくつかの会社から学校へバイトの依頼があって、課外授業として生徒を行かせます。 2年生の時に参加してから、フッションショーに魅力を感じました。3年生の時に最初にお話しした会社の方に気に入られ、大阪の現場がある時には必ず依頼していただき、この世界にどんどん染まっていきました。そして海外の有名ブランドの全国ツアーに参加したことが、この業界に入る決定打になりました。

現場を体験したことが大きかったのですね。

華やかな世界だと思ったら全然違っていて、寝る間もありませんでした(笑)。でも面白かったですね。意外に耐えられるんだなと。全ては野球のおかげだと思っています。今までの人生で野球より厳しいものはまだないです。まだいける、まだいける、と思いますね。

その全国ツアーでは、具体的にどんな点に惹かれたのですか?

まずはきれいな外国人モデルですね。全然違う世界だなと。女性として見るというより、人形を見ている感覚ですね。僕が入ったのは演出チームでした。ショーには照明や音楽のキューを出す演出家、インカムで指示を受けてモデルをステージに出す人、その裏にはモデルを並べる人や、フィッターなどがいます。服3、40着に対してモデルは10数人ですから、すごく早く着替えなくはいけません。バックヤードは大パニックです。たとえば着替えが間に合わない場合、順番を待つのか、入れ替えるのか、カットするのか、演出家は瞬時に判断し、指示を出します。僕の仕事はモデルを出すことでしたが、モデルやスタイリストやヘアメイクから次々と質問され、一体何人から話しかけられるんだという状況でした。
フィナーレではモデル全員が一列に揃いますが、毎回、毎回、鳥肌が立ちました。「すごいものを作っているんだな」ということが分かったのです。カルチャーショックでしたね。

誰も見たことのないものを作って、見る人に鳥肌を立たせたい。
その思いが、斬新な演出を生み出す

株式会社SOTO

現在の事業内容について教えてください。

ファッションショーの仕事が多いです。僕の仕事は演出家で、「今までと違うことをやって欲しい」「ファッショナブルに見せたい」という時に声が掛かります。最近では、化粧品の新作発表会やクルマ関係の依頼も増えてきました。

SOTOの強み・セールスポイントは、どういった点でしょうか?

誰も見たことのない・感じたことのない世界を作って、自分が表現したものに鳥肌を立てて欲しい、第五感で止まるのはなく、第六感・第七感まで感じてもらいたい、ということに一番力を入れています。人のブッキングも僕がしていますので、大道具、照明、音響……すべてに最高のクリエイティブを持った人達を集めます。常に「見る人を驚かせたい」と思っています。

ファッションという最先端の世界に居続けるために、どんな勉強をされていますか?

いろいろなショーや場所、美術展、アート展、そういうものを目に焼き付けて勉強しているという感じです。昔、バッグパック1個で世界遺産を周りました。ヨーロッパやアジアで100ヶ所近くを巡りました。写真で知っていても広さや高さなどの感覚や空気感は、その場所に行かないと分からないので、実際に見に行かなくてはと思います。舞台を見に行っても、照明などに自然と目が向きます。

ファションの仕事をきっかけに知った、ワインの世界。
そこから、新たな事業が生まれる

株式会社SOTO

会社としての課題や、一緒に働く人に対して求めることはありますか?

仕事が重なって依頼に応えられないない時は、僕がもう一人いたらと思うこともあります。企業に属したことがなかったので、教えることは苦手ですが、人を育てて、僕の代わりになる演出家を作らなくてはと思います。部下には、自分のように会社を作ってトップに立って欲しいですね。自分で学んで、仕事を取ってきて、頑張って独立して欲しいと思います。自分を抜くことを考えて欲しいですね。

今後手掛けたいこと、展望・夢などを教えてください。

東京オリンピックの演出で何かしたいですね。メインの演出は有名な人が手掛けると思いますが、小さなことでもお手伝いできたらいいですね。
あとは、ワインの事業を今年(2016年)8月に立ち上げました。自然派のワインを取り扱う店を青山に作ります。
自然派ワインと演出は似ていると思います。ワイン作りは水を使わないお酒なので、ブドウや作り方にこだわる人達がたくさんいるんですよ。防腐剤などに頼らず、自然の力だけで美味しいワインを作ろうという、こだわりのある人達がたくさんいます。まるでアーティストですね。自然派ワインは、会社名や産地名でなく、作り手である「人」で選ばれるものなので、とても共感できるのです。

ファッション業界の人はワインや食に詳しいので、話についていけないと勉強したのがきっかけです。昔から料理も好きで、飲食店を開くのが夢でした。実は、広島の実家にブドウを植えています(笑)。

他に演出を手掛けてみたいジャンルはありますか?

やはり「食」関連ですね。今まで「食」は手掛けたことがないので、ワインの事業と絡めた仕事をしようと思っています。それから、映画の演出もやってみたいですね。タイトルは「ブドウの育て方」でしょうか(笑)。

取材日:2016年9月8日
ライター:保坂久美

株式会社SOTO

  • 代表者名: 代表取締役 尾藤 信吾(おとう しんご)
  • 設立年月: 2014年1月
  • 資本金: 800万円
  • 事業内容: ファッションショー、イベント、パーティーの企画・制作・演出・運営
           ブランドコンサルティング
           店舗プロデュース
           アートエキシビジョン企画・プロデュース
           映像制作
           音楽制作
  • 所在地: 東京都港区南青山1-15-22 ヴィラ乃木坂302
  • URL: http://sotooffice.com/
  • お問い合わせ先:上記HPの「CONTACT」より

株式会社シェルパ

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株式会社シェルパ

店舗のCGパース制作をメインとして、1999年に設立されたシェルパ株式会社。今年、無料のスクールを立ち上げ、VR事業もスタートするなど、社内外で次々と新しい取り組みを手がけています。アイデアが豊富で、「タイミングをみて、とにかくやってみる」という代表取締役の山崎文章(やまさき ふみあき)さんにお話を伺いました。

CGパースの制作に魅力を感じ、28歳で独立

株式会社シェルパ

まずは会社を設立されるまでの経緯を教えてください。

私は福岡県出身で、建築やインテリアに興味があり、九州デザイナー学院に進学しました。卒業後は店舗設計施工会社に入社し、主に店舗の設計や現場を担当していましたが、パソコンが会社に導入されたのを機に独学でCGパースをマスターしました。CGパースの仕事はとても面白く、やりがいを感じていました。
CGパースを作る面白さは、図面を描いた人の思いをくみ取りながら、どんな雰囲気に仕上げていかに演出するかという点ですね。常に相手に感動してもらえる仕事をしたい、前よりいいものを提供しようと心がけていました。

それから独立されたのですね。

もともと独立志向があり、8年勤めた後、2009年に店舗のCGパースをメイン業務として独立しました。「仕事は絶対に断わらない」と決め、最初の6年はどうにかひとりでやっていましたが、どうしても手が回らなくなり、アルバイトを雇うところから始めて、今では社員11名になりました。新卒、中途、別の分野から転職してきたスタッフもいます。

クリエイターから経営者へ、ご苦労もありましたか。

最初は、保険や福利厚生を整えるところで苦労しました。それに、私はナンバーツータイプで、アイデアを出したり助言したりするのは得意でしたが、トップとして人を怒ったりするのは非常に苦手で……。でも、人は褒めるだけでは伸びない、私が言わなければと覚悟して、愛情を持って言うべきことはしっかり言うことにしました。キミならできるはずと伝え、しっかりフォローもします。そうすることで、一人ひとりが成長していくのを実感しています。

経営や営業力まで備えたクリエイターを育成

株式会社シェルパ

御社の事業内容について教えてください。

今も仕事の8~9割はCGパースの制作です。店舗から住宅、マンションまで、何でもオールマイティに対応できるのが当社の強みですね。

どうやって受注されるのでしょうか。

当社には営業がいません。9割がウェブからの受注で、全国から依頼があり、口コミで評判が広まっています。

今でも仕事は断らないのですか?

もちろんです。ご縁があって、当社に依頼したいと思ってくださったのですから、その気持ちには全力で応えたいと思っています。

営業がいないということは、制作担当がお客さんの窓口になるのでしょうか?

そうです。当社ではひとつの仕事にひとりの担当がつき、全てを丸ごと任せるのが特徴です。他社では営業が窓口になり、制作も数人で分業することが多いようですが、当社では売上の管理から制作までひとりでやってもらうので、利益率まで考えるような経営感覚が身につき、お客様に直接ありがとうと言ってもらえる喜びも感じられます。彼らが独立しても、どこででもやっていけるような力をつけてほしいと思っています。会社は、いわば彼らの人生を預かっているわけですから。

スクール、社内通貨など、新しい試みを次々と実行

株式会社シェルパ

会社のトップとして心がけていることはありますか。

スタッフには、技術はもちろん、仕事をする上での考え方まで伝えるようにしています。こんな理由でこうしたほうがいいと教えれば、その考え方は他のシーンでも応用できるので。小手先の技術ではなく、人間性も高めていくことがいい仕事、ひいてはいい人生につながると考えています。
経営者としては、スタッフにいかに楽しく働いてもらうかというのも重要なテーマです。社員が信頼し合い、楽しそうに働いてくれる姿を見るのが一番うれしいですね。
当社に初めてアルバイトで入った人は、すでに独立していて、夢を実現しています。彼は、入社前、CGを諦めようかなという状況でしたが、「シェルパに入ったことで今があります。感謝しています」と言ってくれて、本当にうれしいです。私自身はどうやったら人のためになるのか、何を残せるのかを常に考えています。

人材育成に力を入れているのですね。

そうです。今年3月には、オフィスの横のひと部屋を借りて、3DCGクリエイター養成スクール「Sherpa plus」を開講しました。オリジナルのマニュアルを作り、学生たちに無料で3DCGを教えています。この業界の面白さや、やりがいを知ってほしいし、いい人材はぜひ当社で働いてほしい。教えるのは当社のスタッフで、教えることで理解が深まり、こちらとしても得るものが大きいと感じています。
短期間で成果がみえる事業ではないけれど、ロングレンジで捉えると、業界にとっても当社や学生の未来のためにもいいことだと信じています。

他にも社内で独自の試みをされているとか。

私はいつも新しいことをやってみたいと思っています。最近は社内通貨を始めました。仕事をしていると、他の人に手伝ってもらいたいことが出てくる。しかし、手伝う側にはメリットがないという声がありまして。そこで、人に手伝いを頼むときは、社内通貨を払ってお願いするというルールにして、社内通貨はお金と同じ扱いとして、給料に反映するようにしました。それで不平等感がなくなりましたよ。
また、サンキューカードも導入しています。感謝している相手にそのカードを渡すと、相手はそのカードを換金できるシステムです。アイデアが湧いてくるとタイミングをみながら実行するようにしています。

これから斬新な3つの新事業をスタート

今後の展望についてお聞かせください。

今、主に新しい事業を3つ進めているところです。1つは、高品質な3DVR体験を実現する当社オリジナルの「SHERPA VR」です。ゲーム開発エンジンを使い、さまざまなシミュレーション機能を実装できて、Web上での閲覧・操作が可能。建築やインテリア、企業や商品の紹介、スポーツトレーニングや医療分野、教育や観光案内まで、幅広い分野に活用できます。6月に東京の展示会に出展したところ、大手企業から続々とお声がけいただいていますので、これから本格的に取り組みたいと考えています。
2つ目は、自社サーバーを使ったクラウドサービス「ファイルトーク」です。ファイルのやり取りをベースに、コミュニケーションできるツールを開発中です。
そして3つ目は、CGの投稿サイトです。写真投稿サイトのCG版のようなイメージで、皆がCG作品を投稿できて、作品に対してコメントできたり、クリエイターコンテストをしたり、スカウトができるようにしたりと、いろんな機能を考えています。

最後に、クリエイターの方にメッセージをお願いします。

とにかく楽しむことと、妥協せずに仕事に取り組むことですね。学生に対しては、アルバイトでも何でもいいので社会と接点を持ち、学校と会社はどう違うのか体感して、いろんな経験を積んでおいたほうがいいと思います。

取材日: 2016年9月14日
ライター: 佐々木恵美

株式会社シェルパ

  • 代表: 代表取締役 山崎文章(やまさき ふみあき)
  • 設立年月: 1999年1月
  • 事業内容: CGアニメーション、CGパース建築デザイン、インテリアデザイン、サインプラン、
           WEBデザイン、広告全般、各種デザイン入出力
  • 所在地: 福岡市中央区赤坂1丁目13-10 赤坂有楽ビル7F
  • TEL: 092-717-6800
  • URL: http://sherpa-cg.com/

スマートメディカル株式会社

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スマートメディカル株式会社

スマートメディカル株式会社は、東京に本社を置くベンチャー企業。その主な事業は便利で専門的な医療サービスの提供を目的とした駅前駅ナカ駅上に特化した企画開発をするPCC事業。そして、セルフケアのため人の感情を音声から解析できる音声気分解析アプリなど開発するICTセルフケア事業の2つです。PCC事業として、2016年4月に仙台駅に直結する商業ビル4Fにある『メディカルコミュニティ仙台』内に『医の森クリニック仙台』を企画誘致し開業させました。また同年秋には、ICT事業が注目され日本テレビホールディングスと株式会社ティップネスから増資を受けたばかりと、話題の絶えない同社に伺いました。

今春、JR仙台駅に直結する駅上商業ビルに
『医の森クリニック 仙台』を企画誘致し、開業。

PCC事業本部 紺野 陽亮氏

PCC事業本部 紺野 陽亮氏

今春、JR仙台駅に直結するショッピングモール、エスパル新館の中に、御社が開業支援したクリニックがオープンしましたね。

吉田氏:はい、おかげさまで無事に開業することができました。若い人から年配の方までが行き交う駅に多診療科診療所を置くことで、病院がもっと身近になり、より病気予防に近づくと考えています。

紺野氏:JR駅直結の場所にクリニックを設置したのは東北初と聞いています。『医の森クリニック 仙台』では、ちょっとした相談から術後のケアまでを、連携先病院と一緒に見守る総合かかりつけクリニックとしての役割を目指しています。日々の病気予防のため気軽に足を運んでいただきたいと簡易検診なども行っています。駅という場所を拠点にすることで、わざわざ行くのではなく、いつでも寄ることの出来る通いやすさを重視しています。

新しい事業ですが、今後期待できることは何でしょう。

紺野氏:東北の玄関口である仙台駅で、一般内科でも生活習慣病に特化した診療所としてスタートしました。糖尿病専門医と循環器専門医を配置し、生活指導を行える環境を整えています。ショッピングモール内に立地することもあり、オープンから半年を経て、若年層の女性の患者さんに多く来院いただいていることもわかりました。女性のニーズに応える意味で、今後診療科を増やすことも検討しています。また、医師にとって働きやすい環境を整えることも重視していて、医師の勤務は基本的に複数人体制にし、育児中の女性医師が復職しやすく、また開業ではなく現場にこだわる専門医などからも支持を得ています。

吉田氏:そして、仙台の開業支援から2週間程あとに東京の浅草橋駅前に複数の診療科を持つクリニックの開業も支援させていただきました。いずれもアクセスに便利な場所のためタイムリーな受診や早期発見・治療につながることができればと考えています。仙台、浅草橋双方とも耐震性に優れたビルですので、災害時には地域の医療救護活動拠点となることも想定しています。

駅の役割が増えますね。

紺野氏:ええ、そうですね。同じように今後20ヵ所以上の駅や駅周辺でクリニックの開業を支援する予定です。弊社では、以前から鉄道会社と打ち合わせを重ねており、生活動線上にある駅や駅前に健康相談や初期の医療を受けられるクリニックの必要性を訴えてきました。そのおかげで直通エレベーターの開設や災害時の動線確保など積極的な協力を受けることができています。

吉田氏:PCC事業は、単にクリニックを企画・誘致することだけでなく、その駅の魅力や地域の医療サービスの拡充にも貢献できると考えています。

各方面から大注目の『Empath』、
音声から感情を解析する独自アプリ。

ICT事業本部 副本部長 吉田 雄氏

ICT事業本部 副本部長 吉田 雄氏

もうひとつの事業であるICTセルフケア事業について教えていただけますか。

吉田氏:はい。PCC事業にも関連するのですが、介護に頼らないような健康寿命を延ばすには、それぞれが予防意識を高める必要があると考えています。その予防というカテゴリの中で、診療の間をICTでつなぐライフログ技術の開発と運用が必要とされており、弊社では音声等の物理的な特徴量から気分の状態を独自のアルゴリズムで判定し、気分状態を測定するアプリケーション『Empath(エンパス)』を開発しました。『Empath』は音声から気分状態を解析してすぐに分析結果を画面上で確認できます。PC上はもちろん、スマホアプリとしても活用が進んでいます。

具体的にどのように活用されているのでしょうか。

吉田氏:初めは東日本大震災直後、NPO団体で活動する方々のメンタルヘルスのために開発しました。被災者はもちろんですが、サポートする人々のメンタルヘルスのケアが急務でした。出勤したばかりの朝の挨拶、昼・夕方の音声を分析し、自分自身で心の状態を確認することはもちろん、管理者がスタッフの気分の落ち込みがないかを把握し、モチベーションを視認できるよう、セルフケアやマネジメントに活用していただきました。現在もベネッセホールディングスの子会社であるTMJのコールセンターで、オペレーターの資質向上のためにも活用されています。そこでの共同研究の結果、オペレーターの気分状態と顧客の満足度やアウトバウンドコールでの獲得率との相関が明らかになりました。また、パフォーマンスの高いオペレーターは他のオペレーターと比較して「モチベーション値」が高く、感情表現の傾向にも違いがあることがわかりました。このような結果から、顧客対応中にリアルタイムで上長が指示を出す試みや、顧客の感情に寄り添った自動応答システムの開発を視野に入れるなど、新たなサービスへの展開を目的としています。

被災直後のメンタルケアから生まれたエンジンなのですね。
『Empath』を使って他にはどのようなプロジェクトやシステムが生み出されているのでしょうか。

吉田氏:従業員自身が気分のセルフチェックができるアプリ『じぶん予報』(https://jibun-yohou.jp/lp)をNTTドコモのビジネスプラスにてリリースしています。「全ての働く人と企業を元気にする」をスローガンにし、従業員全体のモチベーションを高めるためにチーム内の気分を上長が把握し、気分にあわせた対応をとることができます。さらに、ストレスチェック義務化にも対応している気分予報アプリです。また、会議室用に会話が盛り上がった際には暖色に、気分が沈むと寒色に変化する照明コントロールアプリ「utakata mood light」を渋谷ヒカリエ内で展示運用されました。また、IoTとして、見守りロボット「BOCCO」と『Empath』を組み合わせた子どもの気分状態を可視化できるシステムやコミュニケーションロボット「Tapia」に搭載されております。多くの企業が『Empath』を利用しやすくするため、Web Empath APIを用意しております(https://webempath.net/lp-jpn)し、様々なシステムやプロジェクトが生まれています。

日本だけでなく海外でも活用できそうですが海外からの反応はいかがでしょうか。

吉田氏:そうですね、おかげさまで問い合わせを多くいただいております。

Apple Watch専用のメンタルヘルスアプリ『EmoWatch』を発売した際には、アメリカのディスカバリーチャンネル内のTV番組『News Watch TV』で特集を組んでいただきました。

Apple Watchに音声を吹き込むだけで、いつでもどこでも自身の心の状態を確認でき、そのログはiPhone上でグラフ化され、感情の推移がひと目で確認できます。『EmoWatch』は、海外のニュースサイト『TechCrunch』にも掲載されました。

人と人のつながりが希薄になっている現在だからこそ
医療とICTの連携が幸せを生む。

御社の目指すビジョンについてお話しいただけますか。

吉田氏:はい。私たちは、健康・医療のプラットフォームとICTのプラットフォームの構築を目指しています。医療のプラットフォームとしては、人々の集まる駅から健康意識を高めていただける場を作ること、それが生活者、医療従事者いずれにもメリットを生む場所であることが重要だと考えています。また、人々のこころとからだに寄り添い、パーソナルなデータに基づいた健康サービス・コンテンツを継続的に提供できる仕組みとなるICTのプラットフォームを構築していきたいと考えています。

最後に医療とICTが連携することで生まれるメリットを教えてください。

吉田氏:クリニックの円滑な運営のためICTを活用することで生まれるメリットは多くありますが、特に重要視しているのは、人々が気軽に自分の健康状態を記録するセルフケアシステムによって、体だけでなく心の健康に対する意識が向上することです。 人と人との直接的なつながりが希薄になっている現在だからこそ、時代に合った身近なツールとしてアプリを活用していただけるのではないでしょうか。今後も科学的な根拠に基づいた最新の技術や知見を世界の方々が健康に過ごすために伝え続けたいと思っています。

取材日: 2016年9月16日
ライター: 影山祥子

スマートメディカル株式会社

  • 代表者名(よみがな) :  柴﨑 望(しばざき のぞむ)
  • 設 立 年 :  2010年11月
  • 資 本 金 :  209,850,000円 (2016年9月現在)
  • 事業内容 :  PCC事業、ICTセルフケア事業、ヘルスケア物販事業、インフラストラクチャー事業
  • 所 在 地 :  本社
            〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3番8号 第2紀尾井町ビル 4F
            TEL.03-3230-4010/FAX.03-3230-4020
            仙台支店
            〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町1丁目5-28 カーニープレイス仙台駅前通702
            TEL.022-397-6240/FAX.022-397-6350
  • URL :  http://smartmedical.jp

株式会社 エイチツーオー

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株式会社 エイチツーオー

株式会社エイチツーオーは2008年に創業した総合デザイン企業です。主に企業や地域団体向けに、グラフィックやWeb、パッケージのデザインに加え、本やパンフレットなどの取材、執筆、編集を行っています。
近年は地域づくりのためのコミュニティデザイン、ワークショップを企業や自治体などから依頼されることも多く、地域のデザインを広く手掛けています。
今回は、エイチツーオーの共同代表である、デザイナーの木和田里美さん、プロデューサーの加茂谷慎治さんにお話を伺いました。

異業種交流で知り合ったことが起業のきっかけ

「エイチツーオー」の社名の由来を教えてください。

木和田さん:印象に残る社名にしたいなと考えました。デザインを通して、人の暮らしに欠かせない存在になりたいなと思いました。水のように透明で、しなやかで、時に力強さもある。そんな企業を目指したいと思ったのです。エイチツーオーというデュオグループの歌が思い浮かんできました。その中に「大人の階段上る」(H2O『想い出がいっぱい』)という歌詞がありました。企業として、一歩一歩階段を昇って高みを目指したいとも考えたのです。そして何より、創業したのが平成20年。ちょうどH20だなと思いついて、すぐに決めたのです。

起業したきっかけを教えてください。

木和田さん:弊社はデザイナーの私・木和田とプロデューサーの加茂谷の2人が代表となっています。以前は2人とも会社員で、異業種交流の場で知り合いました。加茂谷が務める会社のホームページを作っていたのが私でした。勤務する会社が事業を停止することになったのをきっかけに、独立することにしました。

起業する前の歩みを教えていただけますか?

木和田さん:富山県氷見市の出身で、石川県内の洋食器メーカーの商品企画開発室でデザイナーをしていました。その後、デザイン会社に移り、プロダクトだけでなく、ウェブなどのスキルも身につけることができました。

加茂谷さん:私は新聞社で記者、管理部門を経て、石川県内の企業に勤めていました。その頃、異業種交流で知り合った木和田にホームページの制作を依頼したのです。

起業はスムーズに進みましたか。

木和田さん:突然、起業することになったので、正直、資金を含めて準備もありませんでした。事務所について考えると、敷金や礼金、家賃の前金に、設備と気が重くなりました。そんな時、金沢市が運営する起業支援のためのインキュベーションオフィスに空きが出たとのことで、入居者を募集していると知りました。書類の締め切りまで1週間足らずでしたが、急いで申請書を仕上げて、持参し、ギリギリ応募に間に合いました。審査会のプレゼンがあり、無事、審査にパスして、共有スペースに机2つのブースを確保したところからすべてがスタートしました。起業の翌年には、県が開催する「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」に応募し、優秀起業家賞をいただいたことも大きな励みになりました。

どのように事業を進められてきましたか。

木和田さん:私はデザインを担当し、加茂谷は主としてライティングと講師の業務を担当しています。業務の範囲は、グラフィック、Web、パッケージなど、各種デザインに加え、企業や自治体、個人の本やパンフレット製作のための取材・編集を行っています。最近では、地域づくりのためのコミュニティデザインやワークショップを自治体や地域団体から依頼されるケースも増えています。昨年からは自社でデザイン・製作した金箔レースアクセサリー「Gold-Knot」の販売を開始しました。

起業して良かったことや大変だったことは?

木和田さん:自分が起業するとは思いもしなかったのですが、起業したことで、多くの人に支えていただいてることを身をもって感じています。良かったことは、やはり、仕事を通して様々な分野の人と出会い、仕事の成果を直接、体感できること、毎日毎日が決断で大変なこともありましたが、自分の思いついたことをすぐにカタチにできることが良かったと思います。起業当時は、突然、起業することになったので、やはり資金面で苦労しましたね。

加茂谷さん:たくさんの人に支えられてきました。創業当時、まだヨチヨチ歩きの時に声をかけてくださったお客さまのことが忘れられません。周囲の皆さまには感謝しかありません。サラリーマン時代とは異なり、すべてが自分に返ってきます。働くこと、休むこと、すべてが自分の責任です。それでも、好きで始めた事業ですから、日々の業務が厳しくもありますが、基本的に楽しいですね。起業家の仲間と話すと、やはり好きで始めたことなので、24時間、仕事のことを考えているという人が多いですね。

自社でデザイン、制作する「Gold-Knot」(ゴールドノット)

自社でデザイン、制作する「Gold-Knot」(ゴールドノット)

金沢の伝統文化と欧州の技術を融合した新しい自社商品を開発

自社でデザイン、制作する「Gold-Knot」(ゴールドノット)とはどのような商品ですか?

木和田さん:金沢の伝統文化「金沢箔」と、16世紀のヨーロッパで親しまれた「タティングレース」の技術を融合させた金箔レースアクセサリーです。「伝統工芸を日常に身に付ける」というコンセプトを元に、高級感を持ちながらとても軽く、気軽に身につけることが出来ます。東京や県外の百貨店でも好評をいただいており、自社による通信販売にも力を入れています。

本やパンフレットの制作も行っていますね。

加茂谷さん:2015年は金沢のカフェを紹介する『金沢カフェ散歩』(北國新聞社)を、2016年は金沢のパン屋さんを紹介する本『金沢おいしいパン屋さん』(北國新聞社)を制作しました。自社でお店を選定し、取材、撮影、表紙やページの編集までを行っています。
お客さまご自身の生きざまを本の形で後世に残す「自分史」の制作も行っています。「自分史」の制作は、綿密なインタビュー取材を通して、これまでの人生の歩みや本人の想いを伝えるお手伝いとなっています。

ものづくりにおいて大切にしていることはありますか?

木和田さん:イタリアのデザイナー、エットレ・ソットサスは「デザインとは恋人に花束を贈るようなものだ」との言葉を残しています。相手のことを考えて、あの人にはこんなデザインが似合うだろう、あの企業はこんなデザインを喜んでくれるだろう、そんなことを思いながら、デザインを進め、ものづくりに取り組んでいます。

株式会社 エイチツーオー

コミュニティデザインという仕事

もう一つの柱である「コミュニティデザイン」とはどのようなことを行っているのですか?

加茂谷さん:石川県内、県外を問わず多くの地域で、自治体や地域団体からの依頼を受け、ワークショップを通じた地域づくりを支援しています。「地方創生」が叫ばれている中、それぞれの地域が抱える課題は多岐にわたります。それに対して、地域の人たちの絆と、地域の資産を活かして、新しいつながりを生み出し、課題を解決するための、お手伝いをしています。

具体的にはどのような取り組みをされていますか?

加茂谷さん:「地域の縁側」ともいわれるコミュニティカフェの開設講座を5年前から開催し、地域の人が気軽に集える場をどのように作り、維持・運営していくか、そのコンセプトやノウハウを多くの人に伝えています。受講生の中から、20名以上のカフェオーナーが生まれました。人と人とをつなぐ場として、地域に根差し、地域のにぎわいにつながっていくことはとてもうれしいことです。

今後の展開についてどう考えていますか。

木和田さん:おかげさまで金箔レースアクセサリー「Gold-Knot」の引き合いも増えてきました。商品のデザインや開発をさらに進めて、より多くの皆さんに親しまれる商品づくりを進めていきたいと考えています。

加茂谷さん:地方で創業するには、特定の事業に絞り込むことがむずかしく、多岐にわたって事業を展開してきました。今後は取り組む業務を絞り込み、エイチツーオーらしさに磨きをかけていきたいと考えています。

株式会社 エイチツーオー

取材日: 2016年9月26日
ライター: 羽馬 晃海

株式会社 エイチツーオー

  • 代表: 代表取締役 加茂谷 慎治(かもや しんじ)・木和田里美(きわだ さとみ)
  • 設立年月: 2008年
  • 事業内容: デザイン総合プロデュース
            オリジナルブランド Fika http://fika-lab.com/
  • 所在地: 石川県金沢市香林坊2-4-30 香林坊ラモーダ 8F
  • TEL: 076-205-6202
  • URL: http://h2o-d.jp/

株式会社DCG Entertainment

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株式会社DCG Entertainment

名古屋市中区丸の内にあるオフィスビルの4階に会社を構える株式会社DCG Entertainment。CG・グラフィックデザイン制作、ゲーム・モバイルアプリ開発を主軸に、今年(2016年)4月の設立からわずか半年で社員は現在14人。その大所帯を率いるのは34歳にして多様なキャリアを持つ松国成泰代表取締役社長です。
大学を卒業し就職後、再び専門学校でデザインを学び、東京のテレビ局で番組制作のCGを経験後、前職のゲーム開発会社ではデザイナーとして入社してアートディレクターまで務めました。
在職中には、様々なキャリアを積みたいと、転属願いを出して営業職へ。仕事への貪欲さが買われ名古屋支社の立ち上げで社員教育とデザインの統括を担いました。それらの多様な経験を通し、会社の全体像や業界事情に精通し、「デザイナーやエンジニアが機能不全を起こさない会社」を自分たちの手で作ろうと、社員教育に力を入れた独自のスタイルで会社を経営しています。

多様な経験から、チームワーク力を最大化した会社を

株式会社DCG Entertainment

起業のきっかけを教えてください。

自分自身がデザイナーやアートディレクターだけでなく、営業といった様々な職種を横断的に経験してきて、包括的なものの見方ができるようになり、チームワークの重要性を感じました。その経験から教育とチームワーク力を強化すれば、手応えのある結果が得られるのではないかと感じ、自分たちの力でゼロから枠組み(組織)を作りたい、業界に貢献したいという思いから独立しました。

チームワークの重要性をどこで感じますか?

社内間やクライアントとの間にコミュニケーションロスがあると、クライアントの要望に的確に応えられません。ヒアリングや案件に対する理解が欠如すると、当然ながら、顧客満足度の低下、受注の減少を招くことになります。
弊社ではデザイナーはデザインだけやっていればいいというわけではなく、クライアントや社内でコミュニケーションがとれることが必須ですし、それが本人の仕事のやりがいにもつながると確信しています。

「人を活かし、人が創る」をモットーに人材育成

「業界に貢献したい」ということですが、具体的にはどんなことをお考えですか?

私自身、CGデザイナー出身でいろいろな会社と付き合いがあるなかで、デザイナーを含む技術職種の会社での立ち位置や働き方に疑問を持つことが多くありました。弊社では、技術職員も総合職員も隔てなく、会社の一翼を担える存在へと導くとともに、誇りを持って働ける環境を構築したいと考えています。役割と責任を明確化し、待遇面を改善すれば、パフォーマンスも向上し業界への貢献度も上げることができると思います。

なぜ名古屋で起業されたのですか?

もともと出身が名古屋ということもありますが、一度人材を登用すると人が辞めにくいという土地柄も魅力でした。たとえば首都圏では、人の出入りが激しく、キャリアアップのための転職や引き抜きが絶えませんが、名古屋では人材の流動性が低い分、会社にしっかりと向き合ってくれる人が多いと感じます。そこに理念の共有と教育を図る価値を感じ、起業に至りました。

御社の強みは?

すべての社員が技術と意思を持ち、他人とコミュニケーションを図りながら考えを伝え、アイデアを出しあえることです。また、研修を充実させたことで社員の定着率を上げ、会社への帰属意識ややりがいなどを築けることで団結力、チームワークが生まれています。それにより、コミュニケーションロスを減らし、顧客満足度が追求できていると思います。

業界では稀な新人採用と充実のOJT研修

社員が集まるコーヒースペースに掲げられた社訓

社員が集まるコーヒースペースに掲げられた社訓

研修制度について詳しくお聞かせください。

デザイナーやプログラマーなどの研修期間は3~6ヶ月です。市場は即戦力を求めているので、技術職で長い研修期間は稀だと思います。しかし面接をしてみると、個人の素養やマインド、人柄などでいいものを持っている人は多くいて、技術や経験がないだけで不採用にするのはもったいないなと感じています。
Off-JT、OJTを組み合わせて、実際の業務にスムーズに移行出来るように内容を設定しています。

どんな人材を採用していますか?

素養やマインド、人柄などを重視して採用しています。設備や教育制度は整えています。どんな仕事も情熱と経験があれば、天職になると私は思っています。ですので、やる気さえあれば、いくらでも成長できます。やる気のある若手を引き上げたいという思いも、起業したからこそ実現できることだと思います。

デザイナーなど社員の能力を最大限に引き出すために何が必要ですか?

デザイナーなどの技術職は、努力が内的なものに求められがちだと思います。しかし努力が報われるには、きっかけになる人が必要だと思います。私自身も、引き上げてくれた人やチャンスをくれた人がいたからこそ、成長させてもらって、今の自分があると思っています。以前勤めていた会社では、デザイナーの枠を越えた仕事をさせてもらう機会に恵まれました。

株式会社DCG Entertainment

仕事のクオリティーを高めるために、どんな努力や工夫をされていますか?

クライアントあっての仕事ですので、新人であっても質もスピードも当然に求められるため、OJTによる指導と補助を行っています。あらかじめ具体的な指示や指定を行った上で、業務にあたらせて、中間地点で先輩社員によるチェックを行います。問題点があればその時点で検証し軌道修正を行って、今後のための対策を練ります。

変革を恐れず、フレキシブルに人材を育成・活用

株式会社DCG Entertainment

人材育成の苦労はありますか?

何か上手くいかなかったり、伝わらなかったりすれば、自分たち教える側に問題があると考え、教え方や伝え方を変えて指導します。今、指導にあたっている社員はもともと私が指導した社員なので「人を活かし、人が創る」という会社理念を共有しています。ミスコミュニケーションを減らし、デザイナーやプログラマーにとって機能不全を起こさない組織をつくり、新人でも1年後には先輩社員と同等に活躍してくれることを期待しています。

新興市場ゆえ、逆に人材不足に陥ることはありますか?

確かにピンポイントで欲しい人材を探すことは難しいですが、つなぎ合わせれば多様な技術や能力、経験、発想を持った人材はたくさんいます。「今までそれ専門でやってきたから、またその仕事だけやってね」では伸びしろがありません。過去にやってきたレールの延長線でしか活躍できないなんて、面白くないと思います。組み合わせ方や、つなぎ合わせ方で、キャリアの幅をもたせれば、伸びしろのある多様な人材を育てられると思います。

最高のパフォーマンスを求め、やりがいの追求を

今後注力したい分野は何ですか?

自社オリジナルのゲームコンテンツの開発と、グラフィック部門の受託開発の拡充です。どちらも弊社にとって欠くことのできない分野ですが、まだ誕生から半年の若い会社で、若年層も多く在籍しているので、エッジの効いた内容のオリジナルゲームも開発していきたいと考えています。

松国社長は様々な職種を経験されてきましたが、社員にはどんな働きを求めますか?

様々な仕事に携わり、会社や業界全体を俯瞰して感じたことは、何でもできるようなゼネラリストでありながら専門性を持って仕事ができれば、デザイン職も自分で自分の働き方を決めることができるということです。年次に応じて一方的に会社が働き方を決めるのではなく、年齢や経験に応じて多様に活躍できる、そんなフレキシブルな働き方ができる会社を目指し、それが当たり前の業界になっていけばいいなと思い描いています。

そんな働き方ができたら素敵ですね。今後の目標は何ですか?

エンタメ業界の技術者は、どうしてもライフスタイルが労働に偏りがちで、生活がおろそかになりやすいと思います。仕事に誇りややりがいを持てれば、充実感や自信につながり、仕事や人生への満足度も向上します。社員の満足度向上により、仕事の質が上がり、会社や業界の成長につながります。その好循環を作り出すことが、私自身の役目であり、今目標としているところです。

取材日: 2016年10月4日
ライター: 望月佑香

株式会社DCG Entertainment

  • 代表者名(よみがな): 松国成泰(まつくに なりやす)
  • 設立年月:2016年4月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:CG・グラフィックデザイン制作、ゲーム・モバイルアプリ開発
  • 所在地:名古屋市中区丸の内2-12-13 丸の内プラザビル401
  • URL:http://dcg-e.jp/
  • お問い合わせ先:052-218-5220

株式会社カクタス

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株式会社カクタス

株式会社カクタスは、イベントの企画制作に携わる会社です。
『梅田ゆかた祭り』『白浜花火』『中之島ウェスト』など多くの人が訪れるビッグイベントを、開催し年々反響を呼んでいます。
イベント業界では通常、企画と実施運営は別会社が手掛けることがほとんど。しかし「カクタス」は初めから終わりまで一貫して携わります。そこには強く込めた想いがありました。
「カクタス」がイベントで表現したいこと、伝えたいことについて、代表取締役の畚野 信恒(ふごの のぶつね)さんにお話を伺ってまいりました。

誰もが正当に評価されるべきという思いで、
自らビジネスに取り組む

御社の創業について教えてください。

22年前、現会長(前社長)の岡が30歳、私が20歳の時に創業しました。
当時すでに私は自分で様々なビジネスに挑戦していて、ちょうどイベント事業の経験があった岡と知り合い、一緒に仕事を始めたのです。
高校時代から学生生活の傍ら、起業家だった友人の父親に話を聞いたり、ビジネスの成り立ちを考えながら、なんでもトライしていましたね。

まだ高校生の頃からなぜそこまで真剣に取り組んでいたのでしょう?

多分スポーツをやっていたから負けん気が強かったのかもしれません。とにかく自分の力を思いきり試したかった。自分の道は自分で作りたいし、自分で責任を取りたいと思っていました。
そうして手掛けた自分の仕事は正しく評価されたいですよね。その思いは誰もが正当に評価されるべきだという思いと共に、今でもあります。
だから当時から雇われるという選択肢はなく、力を発揮できる場所を作りたいと、自らビジネスに取り組んでいたのです。

オーダーや与件は最低限の条件。本当の隠れた真意や課題は何か

御社の業務内容を教えてください。

プロモーション領域の中のイベントを軸にした会社です。
年間約400~500件の仕事を受けていて、パンフレットやWebに掲載している「梅田ゆかた祭」や「光のルネサンス ウォールタペストリー」など代表的なものの他に、小さな案件もたくさん携わらせてただいています。昔は街の抽選会やキャラクターショーなどもやっていましたね。
この数の案件を従業員30名で、対応するので過酷です(笑)。イベントの人の手配や、商業施設のプロデュースを行う関連会社が同じビルにあるので、そちらとも協力しながら、同時進行でいくつものイベントに携わります。

これまでに携わったイベントにはどんなものがありますか? 

例えば創業当初からかかわっている「白浜花火フェスティバル」は、白浜の借景を生かし、西に沈む夕日と花火を楽しめるものです。観光促進が目的だったので、ガイドブックなど花火以外のプロモーションの可能性もあったかもしれませんが、1日限りだとしても、10万人が訪れたその経験を記憶にインパクトをもって残すことができれば、こちらの方が白浜の観光集客に最適だと思っています。

こうした企画は、初めからお題があるのですか? それともゼロから企画するのですか?

さまざまですね。時には希望されたお題と全然違う提案をすることもありますよ。
「これをやりたい」というクライアントの思惑があっても、それが効果をもたらすかどうかは、また違うことも多々あります。
イベントの仕事は、様々な業種と会社が関わりながら、ただ言われたことを形にして、現場まで起こすというのが、業界におけるほとんどの流れですが、我々は、クライアントのオーダーや与件は最低限の条件だと思って仕事に取り組んでいます。

隠れた真意や課題は何かを探り、色々な角度から見て、面白いと思えることを提案しています。

白浜花火

白浜花火

コンセプトを伝えるために、重要なのはクリエイティブ

お話しいただいた白浜花火などのイベントの成功は、御社が企画から実施運営まで一貫して携わることが影響しているのでしょうか?

そうですね、大きな強みだと思います。
イベントには様々な力があります。例えば、結婚式、祭やイルミネーションイベントなど、人を感動させるだけでなく、人生、あるいは街の活性化や社会に対して影響を与えるでしょう。
我々はその力を最大限に発揮し、イベントのコンセプトをお客様や来街者に伝えるのです。空間の演出、手に取るパンフレット、誘導の仕方、伝え方の工夫……。時には、本番当日までの期間をイベント化して期待感を醸成します。
企画から現場まで手掛ける我々だからこそ、できることがあると思うのです。

コンセプトを伝えるために重要視しているのは何ですか?

イベントにおけるクリエイティブですね。
実はこの分野には専門性と可能性がまだまだあると思っています。例えば、たった1本のポスターが印象的なメッセージを発信したり、イベントの主旨をわかりやすく伝えたりするのです。
訪れた人が実際に体験することで、作り手の想いや商品の素晴らしさ、土地の魅力などを感じられるのが、イベントの強みです。これはTVや紙面で伝える情報では味わえないリアルな感覚です。この場をきっかけに様々なコミュニケーションも生まれます。
これらを伝えるためのイベントをクリエイティブする力が、何より重要だと考えています。

梅田ゆかた祭り

梅田ゆかた祭り

イベントの力を使うことで、様々な課題の解決が可能になる

梅田ゆかた祭

これまでに印象に残ったイベントはありますか?

ここ5年は「梅田ゆかた祭」や「なんば光旅」「中之島ウエスト」「茶屋町スローデイ」など、街イベントに力を入れていますね。
中でもゆかた祭では、梅田の夏の風物詩であり、海外にも発信できるもので、誰もが愛着を持てるアイテムを探しました。それが「ゆかた」でした。
立ち並ぶどこの商業施設でもスタッフがゆかたでお出迎えするって、面白いじゃないですか。その期間、ゆかたで訪れたお客様に何らかお得になるサービスがあれば楽しんでもらえます。そうして誰もが気軽にゆかた姿で訪れる日になればいいと考えたのです。
でもいきなり浸透させるのは難しいので、例えば盆踊り大会やワークショップ、ライブなどゆかたをテーマに開催しイベントを盛り上げます。
イベントが当たり前になり、街中がゆかたであふれるまでには時間がかかるものなんです。

「梅田ゆかた祭」の狙いや目的はどんなものだったのでしょうか?

基本は街の魅力作りのためです。ただそこには、見た目の華やかさや集客だけでなく、将来的な構想も含まれています。「梅田ゆかた祭」「梅田スノーマンフェスティバル」の場合、梅田に関わる企業、行政、地域活動団体が連携し協力体制を取っています。
アメリカ、ニューヨークのタイムズスクエアという街の中心部では、もともと車道だった場所を歩道として幅を広げ、流入人口を単純に増やすだけではなく、安心安全な歩道空間はもとよりイベントの開催や緑化など、街の個性づくりにもひと役かっています。体験を通して街歩きの楽しさを伝えるためです。
もちろん日本でいきなり、民間企業が行政に歩道化を希望しても難しいでしょう。けれども、街のイベントで一時的に通行止めにすることはできます。
そうした機会には、歩道化した方がいい箇所を通行止めにしておいて、その際に起こる交通障害や地元協議など、なにがどのように作用するかを検証しています。
やっていることはイベントですが、そのイベントの力を使うことで、様々な課題の解決が可能になるのです。

一番大事なのは、人を大切にできる性質

「カクタス」ではイベントごとにチームを組んで仕事をするそうですが、その際一番大事なことは何ですか?

当たり前なんですけど、人に優しくて、嘘をつかないことですね。
採用する際に求めるのも、真面目で人を大切にできる性質をベースにもっている人材です。
案外少ないですよ。自分を良く見せようと、カッコつけたことを言ってしまうのでしょうね。最近は人に優しくできない人も多い気がします。
でも、イベントは一人ではできない仕事がほとんどです。同僚がしんどそうだったら「なんか手伝おうか」とか声をかけたり、手助けしたり、そうした思いやりや優しさがないと、一緒にやっていくのは難しいでしょうね。

企画力や想像力、柔軟性などが重視されると思いますが?

そうした能力は、性質の“次”です。仮に本人にそれができなくても、周りの力を借りれば済みますから。人を大切にできる性質をベースを持った人なら、真ん中に立って周りの人を動かすことができます。
我々の仕事はイベントの初めから終わりまで、同じトーンで仕上げていくことです。例えばクールがテーマなイベントで、クールなトーンとは違うポスターやセンスのないスタッフユニフォームは問題です。クールというコンセプトを運営スタッフやグラフィックデザイナー、美術装飾、照明など各所と調整して突き詰めないといけません。それには周りの力を引き出し、結集させる仕事の仕方が大切なのです。

ここ2~3年で組織編制が変わったということですが、会社として大きく変わったことはありますか?

これまでは個々の能力が際立ったプロデューサー感覚の人材を多く育ててきたのですが、これからはそれぞれの知識経験を生かし、組織的に大きな仕事や専門的な仕事も受けられる会社にしようと、編制を変えました。仕事の内容もプロモーションという広い領域から、イベント中心に絞りました。
そうして今3年ほど経ちましたが、やっとどんなイベントにおいても、カクタスのクオリティというものを均質化できてきたと思います。

イベントをひとつのメディアとして世の中に確立できるような
会社になりたい

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今後はどのような事業展開や目標を目指しているのでしょうか?

海外ではイベント会社は建築士と同じくらいの社会的地位がありますが、日本ではまだそこまでではありません。こうした業界全体の現状を変えていきたいですね。
今マスメディアやWebメディアが優位に動いていますが、イベントはその対極にあるメディアとして捉えることができると思います。リアルに体験できることの強みを生かせば、ただ画面で見るだけのTVやWebとは違う商品PRができたり、観光の促進になったりするでしょう。
我々の仕事は、イベントが持つこうした可能性を最大限に引き出すことです。イベントをひとつのメディアとして世の中に確立できるような会社になりたいと思っています。

その際、重要になるのがイベントにおけるクリエイティブということですね?

そうです。今は企画から現場まで携わっていますが、今後はイベント終了後の情報発信まで視野に入れていきたいと考えています。SNSや動画配信など情報拡散できるツールをうまく使っていきたいです。ただその場合も単純に拡散するのではなく「クライアントや課題のニーズに沿ったものを情報伝達するためにどうするか」という設計が必要でしょうね。
クライアントと一緒に課題解決を考え、訪れる人の体験をデザインし、ディレクションするためにはクリエイティブの力はとても重要な位置にあるのです。

取材日: 2016年9月26日
ライター: 東野敦子

株式会社カクタス

  • 代表者名: 代表取締役社長 畚野 信恒(ふごの のぶつね)
  • 設立年月: 1996年5月
  • 資本金: 3,000万円
  • 事業内容: プロモーションプロデュース全般及びディレクション
           コンサルティング業務
           広告代理店業務
           イベント企画・制作・運営管理・実施
           コンピューターシステムに関する業務
           地域活性・新規事業開発業務
  • 所在地: 【大阪本社】大阪市西区新町1-28-11 安川ビル5F
          【東京支社】東京都港区赤坂8−8−1 AKASAKA8ビル202
  • URL: http://www.cactus7.co.jp/
  • お問い合わせ先:大阪本社 TEL: 06-6533-3005 FAX:06-6533-3006
               東京支社 TEL: 03-5770-6800 FAX:03-5770-6801

株式会社特需プロジェクト

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株式会社特需プロジェクト

販売促進に関わる特殊印刷におけるサービスや商品の開発を行う「株式会社特需プロジェクト」。小ロット対応というスタイルで、大手では対応できないニッチな市場を拾い上げ、顧客獲得へと繋げています。その仕事と今後の展望について、代表取締役の松浦鉄也氏にお話を伺いました。

さまざまな職業を経験し、印刷の世界へ

株式会社特需プロジェクト

会社設立以前の職歴を教えてください。

この業界自体は、12年前くらいからになりますね。それ以前は、10回ほど転職を繰り返していまして……。旅行会社に始まり、外壁の訪問販売、配管工、食品工場、業務用食品の卸、菓子メーカーなど、さまざまな職業を経験してきました。

印刷の仕事に就くまでには、どのような経緯があったのですか?

ちょうど菓子メーカーに勤務していた時です。飲食チェーン店のレジ横に商品を置いてもらいたくて、「ポップを作るので、全店に置いて欲しい」と交渉したところ、OKをいただいたんですね。当然ポップの作り方なんて知らなかったのですが、プリントソフトを使って自分なりに形にしたところ、その出来が結構良くて。結果的に何千枚かを全国の店舗に置いてもらうことが出来たんです。子どもの頃から工作や美術が好きだったこともあって、作ること自体も面白かったのですが、成果が出たことで気が良くなっちゃって(笑)。あぁ、こういう仕事もいいなあと思って、印刷関係の会社に転職しました。

入ってみた印刷の世界はいかがでしたか?

広告に近いかなと思って入った転職先は、印刷物を作るというよりは、営業資金調達のための機械販売が主な業務でした。それを2年間続けたんですが、それだけでは儲からないので、きちんと制作に取り組んでみてはと会社に提案したんです。そうしたら、タイミング良く百貨店の周年記念と重なって、そこで仕事を取って来ることが出来たんですね。それをきっかけに、少しずつポスターや広告代理店の仕事をいただいて、販促物を作るようになっていったんです。

独立されたきっかけを教えてください。

販促物を作っている時に、付き合いのある資材メーカーに引き抜かれまして、5〜6年ほど在籍しました。ここでは、販促物や看板の素材について幅広く知ることができましたし、所長業務も経験させていただきました。その後、そろそろ独立準備に入ろうと考え、会社を辞めたのですが、すぐに準備が整うわけではありませんので、1年くらいは覚悟していたんです。その時に、以前勤めていた機械販売の会社から手伝って欲しいといっていただき、お手伝いをしながら1年半ほど過ごし、結果的には、資材メーカーの社長の支援を受けて独立させていただきました。

大手が対応できないニッチな市場を狙う

独立後、初めてのお仕事は何でしたか?

以前、店舗装飾をしたことのあるWi-Fiのレンタル会社に、Wi-Fi機械の液晶画面を保護するためのフィルムを作ることを提案しました。当時はまだWi-Fiが出始めたばかりで、レンタルが主流でしたので、何度でも使うものなら画面の保護が必要じゃないかと思って提案したところ、それはいいねということになり仕事に繋がりました。加工に使うのはスマホの画面保護フィルムでしたが、加工する技術を持っていても、なかなかそれをやる会社がなかったんです。というのもその当時は、フィルム製造を大手業者が一手に引き受けていたので、小ロットで受けている会社がなかったものですから、弊社なら対応できますと言って話を進めました。

現在、特需プロジェクトでは、どのような仕事がメインなんですか?

弊社は、印刷技術によって販促のすべてをサポートするというのがコンセプトで、そのための製品作りが8割を締めています。大手では、ある程度の量の発注がないと受けられない場合でも、弊社では小ロットの要望に応えています。いわゆる隙間産業ですね(笑)。紙や木材、金属などさまざまな素材を使い、サイズを問わず大抵の形状には対応できますので、オリジナル商品もお受けしています。それが、口コミや紹介で広がっていって、面白い物を作りたいという方からのオーダーに繋がっています。

オーダーの例を教えてください。

例えば、店舗のウインドウの装飾やポスターやポップ、看板の制作、ペット素材で作るバインダーやファイル、パッケージや卓上カレンダーなどの制作経験もあります。普通はフォーマットと呼ばれる型があって、それを使うのですが、そのまま使うのではなく、弊社では非効率的であっても1つひとつ型を作って、すべてオリジナルとして対応しています。

他社で同じことをするのは難しいのですか?

パッケージやポップなどを作る際に使う、切り抜きや筋入れ、折りなどを自在に加工する機械を弊社では先行して導入しています。他社ではそれ以前に量産をしなくてはならないものがありますから、なかなかそこまで手が回らないというのが実状ですね。それに、例え機械を持っていても、それをどう使いこなして、どう製品作りに活かすかを考えられないと、結局機械に使われている状態になってしまいます。ですから、同じ機械を持っているところはありますが、弊社と同じことをしている会社はあまりないと思います。

製品へと繋がるアイデアは、至る所に転がっている

販促用バックの試作品

販促用バックの試作品

オリジナルの型は、使い切りにはならないのですか?

商品はそれぞれ特殊な要望を受けて作っていますが、形にするために試行錯誤し、解決方法を見つけて、ノウハウを作ります。そのノウハウが次の商品作りに繋がりますし、自分たちの技術のストックにもなるんです。ですから、小ロットでも互いにメリットはあります。小さな要望を拾い上げて形にして、裾野を広げていくことが、すなわち自分たちの利益になるのです。

小ロットの場合、価格が高いというイメージがありますが。

みなさん、そうおっしゃいますね。でも、小ロットだからといって高額な訳ではなく、同じことを大手に依頼した場合は、このぐらいかかるということを明確に比較して、納得のいく価格を提示しています。それでもやはり価格的に厳しいという場合は、素材を変えることで価格を抑えるという提案も行っています。その場合、お客様のご要望に沿うような形になるように、素材選びも大事なポイントになります。

形状のアイデアなども提案するのですか?

そうですね。とにかく変わった形やパッケージが多いので、まずは相手の望む形を試作します。それをもとに、ここをこうした方がいい、この素材がいいとアイデアを出し合って作ります。

アイデアというのは、どういった時に浮かぶのですか?

街中を歩いていると、いろんなところにアイデアが転がっています。例えば金属でしか作れないものを擬似的にペット素材で作れないかとか、ガラスだけど他の素材でも応用できないかといったことを考えていますね。今思うと、1つのことを次に応用できるのは、これまでさまざまなジャンルの仕事を経験し、現場を知っていることも大きく関係しているかもしれませんね。

何よりも大切にしているのは、判断のスピード感

ご自身が仕事をする上で譲れない部分、こだわっている部分を教えてください。

1番大切にしているのは、判断をするスピード感ですね。僕は結果をすぐに知りたいので、こんなものが欲しいという相手の要望や、自分自身のアイデアは、思いついたらすぐ試作してみます。その上で、足りない部分を補ったり改良を行いますが、違う方法でアプローチするためにも、良し悪しの判断を即座に行うことが、こだわっている部分と言えるでしょう。幸い弊社は小ロットなので、試作のリスクも少なくて済みますしね。

ニッチな部分を拾っていると仰いますが、大手の印刷会社とはどのような関係なのでしょうか。

弊社は、いい関係だと思いますよ。現在、印刷業界の利益は全体的に下降傾向にありますが、だからといって印刷物の価格を下げるのではなく、新規開拓に対応していく必要があると思うんです。そのために、大手からお客さんを紹介してもらい、こちらはアイデアと技術を提供して新規開拓に繋げるなど、互いに利益を得るように協力し合っています。ちょっとした相談所みたいな感じですよ(笑)。僕自身、今の流行りの物や色などの勉強にもなるので、いい関係を築いていると思いますよ。

今後の展望についてお聞かせください。

サービス面においては、現在は法人を対象にしていますが、この先は汎用性をもって、もっと一般向けのサービスを展開していきたいと思っています。これまでに蓄積したノウハウをもとに、いずれは今の技術をDIYにも活用していきたいですね。そのアイデアは、今はまだ頭の中にありますが、そのうち形にしていくつもりです。

取材日: 2016年10月5日
ライター: 八幡智子

株式会社特需プロジェクト

  • 代表者名:代表取締役 松浦鉄也(まつうらてつや)
  • 設立年月:2013年10月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:特殊印刷に関わるすべての業務
  • 所在地:北海道札幌市東区北22条東15丁目4-22 おおぎビル2F
  • URL:http://www.tokujuproject.jp/
  • お問い合わせ先:上記HP「お問い合わせ」より

株式会社新潟アニメーション

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株式会社新潟アニメーション

新潟アニメーションはその名の通り、新潟市を拠点にアニメ制作を手がける会社です。代表取締役社長の後関健一(ごせきけんいち)さんは、アニメ会社の新しいエコシステムの確立と、オリジナル作品の実現を目標に、新潟・東京間を行き来する日々を送っています。会社の設立の経緯、拠点として新潟を選んだ動機、人材開発、新しい働き方の提案など、新潟から世界を目指すという期待に満ちたお話を伺いました。

物を作ることは、人を作ること。
新潟の専門学校と組んでアニメ会社を設立

株式会社新潟アニメーション

新潟アニメーションを設立したきっかけを教えてください。

前職のモバイルコンテンツ会社を退職して、アニメ、マンガ、ゲームの会社を設立しようと起業ネタを探しにアジアを巡りました。シンガポールで出会った日系の経営者の方達に、現地で今盛り上がっていること、話題になっていることを聞いたところ、サッカーのアルビレックス新潟のサテライトチームがシンガポールにあることを知りました。新潟のサッカーチームが、なぜ、シンガポールで?と思いますよね。新潟の専門学校グループ(NSGグループ)の代表者がアルビレックス新潟の会長でもあり、海外で起業する人や進出しようとする人を支援していたのです。「新潟に面白いグループがあるんだな」と思いました。
日本に戻ってNSGグループのアニメ専門学校を見たら、新潟で10何年と続いていて、卒業生も多く活躍していました。一方、新潟にコンテンツ会社はまだ数社しかありませんでした。そこで専門学校と組んでアニメ会社を作ろうと立ち上げたのがきっかけです。

後関さんは、これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのですか?

私は就職活動をしていないんです。大学時代にテレビの放送作家の事務所に転がり込んで、20代の頃は放送作家をしていました。地上波には新人がすぐに担当できる場所はなかったのですが、衛星放送が立ち上がった時期で、幸運にも、歴史物の番組で構成を担当させていただきました。

衛星放送の次の大きな流れとして、テレビ局がi-モードのサイトを番組連動で作り始めました。携帯コンテンツ用にテレビ番組のゲームシナリオを書いてみたところ、「これは面白い。」と、ゲームやマンガの新しい可能性を感じて、30代でモバイルコンテンツ会社へ転職しました。そこではディレクションから人材開発まで手がけるようになり、研修の講師などもしていましたので、「物を作ること」は、「人を作ること」、このふたつは密接に繋がっていると実感しました。

会社名のモデルは、サッカーのクラブチーム。
地域に根差した取り組みで、ブランド力を上げたい

社名やロゴデザインの由来を教えてください。

日本海をイメージした青で、新潟の頭文字「N」をデザイン。夕日をイメージしたオレンジのラインは新潟県のような部分が、佐渡島を表しています。

日本海をイメージした青で、新潟の頭文字「N」をデザイン。夕日をイメージしたオレンジのラインは新潟県のような部分が、佐渡島を表しています。

ロゴは、新潟の頭文字「N」と、新潟県の形を表しています。色は日本海のブルーと、夕日のオレンジです。会社名のモデルは、地域に根差したサッカーのクラブチームです。「新潟」という地名と、アニメーションの会社だということがダイレクトに伝わることを考慮して決めた社名です。
会社のブランドイメージは、社名ではなく「作品」から生まれると思っています。地域密着で発信して、今後、世界的に作品が知られるようになって、「どこで作られたアニメだ?」と海外の人が関心を持った時に、「日本にある都市、新潟だよ」「新潟アニメーションという会社が作っているんだ!」と社名で伝えることができます。

事業を立ち上げたいという思いは、いつ頃からお持ちでしたか?

モバイルコンテンツ会社に在籍していた頃から、起業を目指す仲間と土日に集まって、実験的に企画を作ったり、海外のモバイルコンテンツの状況を調べたり、3年ほど、勉強会的な形で準備をしていました。きっかけになったのは3.11です。直接被害に遭ったわけではないのですが、東京で震災を体験し、いつ死んでもおかしくないと思いました。帰宅難民となりオフィスのあった渋谷から川崎の自宅まで歩いて帰ったり、ボランティアに参加したりする中で、40歳になって60歳までのあと20年で、ひとつに打ち込めるものは何か、と考えたら、今まで関わってきたテレビ、モバイルコンテンツ、人材開発等と、アニメ、マンガ、ゲーム関係の事を、自分の集大成としての仕事をしたいと思ったのです。

日本酒、銀食器など、物作りのポテンシャルが高い新潟。
アニメ制作にも通じる土壌

制作部のある本社の新潟スタジオ

制作部のある本社の新潟スタジオ

起業ネタを探してアジアを巡られていたのに、日本からスタートすることを決めたのはなぜですか?

1年間海外を周ってあらためて分かったのは、「自分の強みは日本人であること」でした。そして、地方の魅力と、日本にはいくらでも可能性があることに気づきました。ある意味、新潟も「世界の一部」だなと感じました。日本のどこでも「世界の一部」だと思いました。

新潟を選んだのは、どのような点が決め手でしたか?

そうですね。たとえば、これほど多種多様な日本酒が揃う地域は、新潟以外ないでしょう。中には、ミシュランの三ツ星の店で食前酒などに使われているものもあります。ノーベル賞パーティ用の銀食器が燕市で作られていたり、最初のiPodの裏面の磨きの技術も新潟でした。物作りの土壌として、新潟はポテンシャルがすごく高いと感じました。そうした物作りの現場に実際に行ってみて、お酒も食べ物も美味しいし、新潟が好きになりました。物を作るという点では、アニメ制作にも通じるものがあると思います。

新潟と東京、それぞれのオフィスの役割について教えてください。

本社の新潟スタジオは制作部として機能しています。新潟には、弊社の他にもアニメ会社ががあって、そこと連携しながら新潟でアニメーションを制作する土台作りに3年かけて取り組み、これからまた長期にかけて、さらに新潟の人材を増やして育成していくところです。
東京事業部は新潟本社と同時に立ち上げ、制作・企画営業として、特に営業の拠点としての役割を担っています。私は、新潟と東京を行き来して、月の半分くらいは新潟、もう半分を東京で過ごしています。将来的には東京にもスタジオ機能の一部を設けて、制作スタッフを置きたいと思っています。

モバイル業界を経験した視点から、アニメ業界に対して思うこと・提案などはありますか?

アニメ業界は、今、転換点にあるんじゃないかと思います。私がモバイル業界にいた頃は、着メロ・着うたの勢いがあった時代で、IT業界の動向がコロコロと変わり、技術開発の知識に追いつくだけでも大変でした。それに比べて、アニメ業界はデジタルに対しての導入度合いがまだまだだと感じましたが、それはチャンスでもあると思います。昔、アニメの制作進行の仕事は手描きで描かれた紙の原画を回収するため、クルマで各スタジオを周ることが中心でしたが、今はバイク便や専門業者がありますし、今後デジタル化が進めば、現場を管理する人間によるプロジェクトマネージメント的な、IT業界のような管理法へと変わっていくのではないかと思います。IT業界出身の自分としては、今までのアニメ業界とはちょっと違ったスケジュール管理・コスト管理・クオリティ管理など、どんどん導入していきたいですね。新しい会社だからこそ、新しい取り組みを最初からできると考えています。

新潟アニメーションでは、すでにそういった業務フローが取り入れられていますか?

私たちの会社自身のことももちろんなのですが、もっと業界として活性化する状況を整備した上で、新潟でアニメを作るエコシステム、新しいアニメーションの作り方「新潟モデル」を確立したいと考えています。東京の既存のシステムを変えるというよりは、新潟スタイルを作ろうと、土壌を耕して種をまいているところです。それが5年後・10年後には芽が出て花開くと思います。

地に足をつけながら、オリジナル作品を世界へ。
地方での新しい働き方・物の作り方を確立したい

今後、新潟アニメーションをどのような役割・存在にしたいとお考えですか?目指していること、将来の展望・夢などを教えてください。

目標のひとつは、テレビ・劇場用のオリジナル作品を作る体制を整えることです。アニメ会社は大手から分家して、下請けの仕事から10年・15年かけて仕事が増えて、体制が整ってからオリジナルを、というケースはあるのですが、当社は最初からオリジナルを企画しようと思っています。すぐ形にすることは難しいですけれど、制作能力を高めながら企画を準備しています。自分達が作りたいものに取り組める会社として、今までとは違うアニメ会社を目指しています。その時の目線は常に「世界」を忘れないようにしていきたいと思っています。地に足をつけながら、目線は世界を見ていたいですね。

海外進出についてはどのようにお考えですか?

世界には、日本のアニメやマンガの熱狂的なファンがいるにもかかわらず、影響力は大きいもののビジネスとしてはまだまだ余地がたくさんあるので、むしろそれがチャンスです。
今後、日本国内の市場だけではビジネス的に難しいことを考えると、世界に目を向けるべきで、映画といえばハリウッド、ITといえばシリコンバレーというように、なぜ日本の練馬区や杉並区がアニメの聖地として注目されないのか、そのギャップがあることがチャンスだと思います。
今まで、アニメ会社にいたわけではない人間が地方からアニメを作って発信することは、新しいチャレンジとしては面白く、ビジネスとしてのチャンスが転がっていると感じています。

一緒に働くスタッフに対して、会社としてどのようなことを求めますか?

個人の能力やクリエイティブセンスも必要ですが、集団で仕事をしていく中で、みんなで何か作っていくことへの気持ちと新潟という場所で作ることに対して何かしら思いがある方であれば、一番うれしいですね。
弊社は、「クリエイターの働き方を変えていきたい」と考えています。家庭やプライベートをちゃんと充実できるバランスのとれた働き方です。今、いろいろな会社が在宅でも仕事ができるよう取り組んでいますが、雪国の新潟では、吹雪いている日は家で仕事ができるなど、地方での新しい働き方・物の作り方を確立していきたいですね。

そうなれば、新潟で働きたいと思う人も増えそうですね。

Uターンはもちろん、Iターンで働きたい人も歓迎します。永住・移住するのではなく、一定期間、修業する感覚で、地元の人達と交流しながら仕事をすることもできると思います。

取材日: 2016年10月6日
ライター: 保坂久美

株式会社新潟アニメーション(Niigata Animation Co.,Ltd.)

  • 代表者名: 代表取締役社長 後関 健一(ごせき けんいち)
  • 設立年月: 2014年2月
  • 事業内容: 映像作品の企画・制作/映像作品の製作並びに権利保有
           クリエイターの育成、マネージメント並びに権利保護
  • 所在地: <本社・新潟スタジオ>新潟県新潟市中央区東堀通1番町501-1 パークサイド白山211
          <東京事業部>東京都新宿区新宿7丁目26-7 ビクセル新宿1F
  • URL: http://www.niigataanime.com
  • お問い合わせ先:上記HPの「CONTACT」より

株式会社 TRIMTAB WORKS(トリムタブワークス)

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株式会社 TRIMTAB WORKS(トリムタブワークス)

自社商品の魅力をどのように訴求し、どうしたら売れるのか。頭を悩ませる企業に、豊富なプロモーションの経験と実績に基づいたWEBプロモーションで、かゆいところに手の届くと評判の株式会社トリムタブワークス。業界では珍しい女性経営者が率いる同社は、仙台にありながらも大手企業のプロモーションを次々と担い、信頼を得ています。今回は、WEB業界未経験でありながら、優れた経営手腕を発揮する代表の後藤みこさんにお話を伺いました。

会社員という道を捨て
経営者としてやっていく覚悟を決める

株式会社 TRIMTAB WORKS(トリムタブワークス)

起業した経緯をお話しいただけますか。

実は、私は起業意欲があったわけではないのです。弊社は、別の方が創業した会社です。私は、もともとその方と知り合いで、すでに業務が動いていたにもかかわらず、彼にとある事情が生じ、どうしても会社を率いていくことが出来ない事態に陥ってしまったため、彼と周囲から「会社を引き受けてもらえないか」と頼まれました。実はそのとき、私は誘われている企業が他に2社あり、どちらかに転職する予定でお話しが進んでおりました。経営者になりたいと思っていたわけではなかったので、「社長」という3つの目の選択肢に対して相当迷いましたが、会社員という道を捨てて、経営者としてやっていく覚悟を決めました。それが7年前です。

後藤さんは、これまでどのようなお仕事をされてきたのですか。

大きくわけて二つの職種を経験しています。一つは、登記全般や株主総会の対応をはじめとした総務、法務、経営企画、会計、財務、人事、労務、など、企業のバックオフィス業務とそれらに関する法律の専門家をサポートする仕事です。もう一つは、新商品のPR、イベントの企画・運営、アパレル販売の代行など、企業のセールスプロモーションに関する仕事です。その仕事に就いていた当時は全国各地を飛び回っていました。つまり、企業活動の両面であるバックオフィス業とプロモーション業を経験してきたということです。販売現場に張り付いていましたから、現場の声にもお客様の声にも近いですし、その一方で経営サイドの考え方も承知しております。ところが、ずっと人を相手に仕事をしてきましたので、代表になった当時はWEBのことも制作のことも全くわかりませんでした。

WEB業界未経験でWEBプロモーションの会社の代表になるということに不安はありませんでしたか。

もちろんありました。ほとんど知識のない業界でしたから、当時は「一から勉強しなければ」と力が入っていました。ですが、スタッフから「そこまでしなくて大丈夫です」と言われたんです(笑)。それで任せることにしました。そのことによって彼らにはいっそうの責任感が生まれ、能動的な提案をしてくれるようになりました。もちろん今は、一般の方に比べれば知識はありますが、専門家であるスタッフと同等の知識と専門性を自分に求めないことにしたんです。私は経営と営業に専念し、制作のプロフェッショナルとしてスタッフを信頼しています。

もっとも大事なことは、技術的な専門性ではなく
クライアントの立場に立つということ。

さて、御社ではどのような事業を行っているのでしょうか。

クロスメディア戦略の設計や構築などのコーディネート事業、WEBやアプリなどのコンテンツ制作事業、ECサイトの店舗運営代行などの店舗支援事業など多岐にわたります。クライアントが何を望んでいるのかを読み取り、何のために、何をすることがより有益なのかを考え企画しご提案しています。
「アプリを作ってほしい」とご依頼をいただくこともありますが、果たして今アプリが必要なのか、クライアントの本来の目的を理解した上で「アプリ制作よりもイベントの方が効果的ではないか」とご提案をすることも少なくありません。ターゲットにしっかりと届くプロモーションが何なのか、クライアントとそこから一緒に考え、時代に合わせてご提案しています。ご依頼をいただくのはありがたいことですが、ご予算内で最も有益な方法をクライアントと一緒に考えることが大事だと思います。そうすることによって、クライアントには、ターゲットの習慣や嗜好、地域性などの理解を深めていただけます。それがさらにクライアントにとって自社商品に対する理解に繋がっているのではないでしょうか。

クライアントには大手企業が多いのですね。

そうですね、大手の企業様から直接ご依頼をいただくことも多いです。前職からのつながりも全くないとは言えませんが、現在の会社を設立してからお付き合いをさせて頂くようになった既存のクライアントからのご紹介で新たなご縁をいただくことが多いと思います。広告代理店や制作会社を介さずに直接ご依頼をいただいくことも少なくありません。

制作はスタッフに一任しているということですが、業務のコミュニケーションは円滑ですか。

私はまったく制作業務には携わっていませんので、制作の進行管理までスタッフに任せています。どんな技術を用いて何を作るか、どれほどの時間を要するかという業務報告については、彼らに専門家でなくてもわかるようなわかりやすい説明を求めています。クライアントに専門用語を用いて説明しても全く理解していただけませんし、それでは信頼関係も生まれませんよね。PCに向かって制作をする一方で、作ったものは、人間が使うのだということを意識するよう伝えています。原価計算や進行管理はもちろんですが、さらにプロモーション力を育成しています。

制作スタッフのために取り組んでいることなどはありますか?

社員にとって働きやすい職場であるよう常に公平であることを意識した社内ルールを設けておりまして、休憩時間を工夫したり、飲食をする際の場所や他のスタッフの状況等に配慮をするなどのルールを設けたりしています。制作現場というのは密室状態ですので、環境から受けるストレスを少しでも軽減できるような仕組みを取り入れています。スタッフは6名で、そのうち2名は出産のため休んでいます。女性が社会で働き続けることの大変さも理解していますから、結婚や出産を経ても戻りたくなる会社でありたいと思っています。

大切なのは、お客様の視点に立ち、共感し、代行して、達成する
循環パターン

会社として大事にしていることはなんですか。

先にもお話ししたことと重なりますが、お客様の立場に立つということです。いつでもユーザー目線であることが最も大事だと考えていますので、私自身もスタッフも常にそれを心がけています。誰にでもわかる言葉を使って伝えること、お客様と目線を合わせてコミュニケーションをとることです。本当に当たり前のようですが、この業界にはなかなかそれが出来ない会社も多いんです。お客様の立場で共感し寄り添い、お客様の出来ないことを代行し、実現する。このことがお客様との信頼関係を深めてくれる最もシンプルで重要な業務循環のパターンだと思っています。

今後の目標を教えてください。

まず、経営者として、企業活動を継続して雇用を維持していくことが大前提です。会社を継続させていくための戦略や計画に力を注ぎ続けます。また、インターネットの世界は激動の時を迎えています。変化が早く今後どのように進化していくのかわかりません。こういう時代には、専門性も必要ですが、それよりも柔軟性の方が大事だと思っています。変化にうろたえることなく改善していくこと。これはスタッフにもよく言っていますが、時代の流れと人をよく見て一番にすべきことを選択していきたいと思っています。

取材日: 2016年10月14日
ライター: 影山祥子

株式会社 TRIMTAB WORKS(トリムタブワークス)

  • 代表者名(よみがな) :  後藤 みこ(ごとう みこ)
  • 設立年月 :  2010年8月
  • 資 本 金 :  2,100,000円
  • 事業内容 :  WEB サイト・モバイルサイトを利用したセールスプロモーションの企画、
            各種商品サービスのマーケティング支援業務、
            WEB サイト、モバイルサイトの企画、制作、構築、運用、運営、保守管理、
            前各号に関するセミナー・講座の企画・運営、
            前各号に付帯する一切の業務
  • 所在地 :  〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町一丁目5番31号 シエロ仙台ビル5F
           TEL. 022-398-6478
  • URL :  http://trimtabworks.co.jp/

株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズ

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株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズ

株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズは、子どもたちの将来を支える「総合教育支援サービス」を行っています。地域密着型の学習塾の運営をはじめ、オリジナル教材の企画・開発、5歳〜9歳の子どもに特化した「玉井式 国語的算数教室」の全国展開など幅広い事業を手がけています。2014年にはインド デリーに支社を開設し、「玉井式」は国内のみならず、アジアをはじめとする世界各国に広まっています。
ただ成績を上げることのみを目標にするのではなく、子どもたちが将来仕事に就くため、自分の特性を生かして、人の役に立つための教育を常に考えているという代表取締役の玉井満代(たまい みつよ)さんにお話を伺いました。

算数の教え方はこれでいいのか?という疑問から教材作りの道へ

元々は脚本・演出家のお仕事をされていたそうですが、どういった経緯で今のお仕事に就かれたのですか?

株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズ

東京で結婚して子どもを授かったあと、義父が亡くなったのをきっかけに夫の実家がある和歌山に移り住みました。そこで、自分にできることは何かないかと思い、小さな広告を出して始めたのが私塾のようなものでした。それこそ、机と鉛筆とホームセンターで買ったホワイトボードから出発し、そこからどんどん生徒が増えて、あっという間に500人くらいになりました。

500人はすごいですね。その後、教材をご自身で作られるようになったということですが、何かきっかけがあったのでしょうか?

私自身、教えた経験もなくやってきたので、塾専用の教材で教えていたんですが、子どもたちが小学校の高学年になった時に「やり方を忘れた」と言い出すようになって……。もしかしたら、この子たちは公式を覚えてそこに当てはめてやってきただけなんじゃないか、意味がわかってなかったんじゃないかとハッとしました。算数の◯◯算、例えば、つるかめ算、仕事算、植木算なども、理論(ロジック)があるので、それを押さえていたら忘れるわけはないのです。「公式を忘れたからできない」となると、それは単に「暗記の算数」を学んでいるだけなのではないかと考えたのです。

教材自体に疑問を持たれたということですか?

簡単に言うとそういうことですね。そもそも論として、今の教科書のカリキュラムは、すでに古いものになっていると思います。グローバル化といってはいますが、未来に向けてのカリキュラムではなく、過去を踏襲している。そしてその教科書に合わせて多くのドリルなどが作られていますが、教科書そのものがおかしいとは誰も思わないですよね。それでいいのかなと。だから、玉井式のカリキュラムは教科書準拠ではないんです。実は、それがすごく革命だったんですね。

生きていく上で必要な”想像力”と”創造力”を育むカリキュラムを

玉井式 国語的算数テキスト(1年生)

玉井式 国語的算数テキスト(1年生)

教科書準拠でない「玉井式」の特徴を教えてください。

玉井式は、低学年でもとことん読まなければならない教材です。先に◯◯算のやり方を教えるのではなくて、子どもたちが物語を読んで、その式を導き出すことをイメージできるようにしています。算数も要は理論(ロジック)なので、算数を算数として教えるのではなく、 国語的なところを重視しています。それが世界のスタンダードですから。
最初はビジュアルを見て答える問題が多いですが、だんだん「見る」から「読む」に自然に移行していって、読んで答えるという風にしていくんですね。低学年のうちにそれをやっておけば、高学年になって公式を教わった時に、子どもたちも、公式の意味が理解できるようになるんです。

読むことに重点を置いているんですね。

今までの教育では、暗記を重視する風潮がありましたが、それよりもっと必要な能力は、自分の言いたいことを頭の中で組み立てて他人に伝わるように言葉や文章で表現するという力です。その中で、私たちが最も重きを置いているのがイマジネーション力(想像力)とクリエイティビティ(創造力)です。生きていく上でこの二つの能力が不可欠なんです。
脳の重量が成長している12歳くらいまでは土台作りとしてそれをしっかりやらないと、大きくなった時に、体力も気力も競争力も全てない人になっていきます。日本の子どもたちの能力をもっと底上げしていくために、 本気で考えたいなと思ったんです。

なるほど。玉井さんは、実際に小学校や塾などにも行かれるそうですが?

はい。うちの教材は作りっぱなしじゃなくて、ずっと進化し続けているんですよ。作っては現場を回って、また手直ししてという感じで。先生方の意見も伺いますが、いちばんわかりやすいのは子どもの反応です。子どもたちの「わかった!」という反応はやっぱり素直だし、そこを吸い取って教材を作っていけるというのがいちばん嬉しいですね。思い込みで机の上だけで作っていても、いい教材なんて絶対生まれないですから。

  小学校での「玉井式 国語的算数教室」体験授業の様子

小学校での「玉井式 国語的算数教室」体験授業の様子

現場の先生や保護者との対話も大事にされているんですよね。

もちろんそうですね。子どもは絶対弱者なので、言いたいことも言えず受け身にならざるを得ないですよね。そこで、周りの人がどういう声掛け、励ましをするかで全然違ってきます。出来ないことを出来ないと言えるような家庭環境あるいは学校環境にしていくことがいちばん重要で、出来ないことは悪いことじゃないんだということを伝えていきたいと思います。何でわからないの、何で出来ないのとこちらの思いをぶつけてばかりいると、子どもの自己肯定感はどんどん低下しますし、これは世の中のいちばんの問題だと私は思います。
子ども自身は目の前のお母さんにほめてもらいたい、先生に認めてもらいたいと思って勉強しているんです。そのことをまずは理解してあげて欲しいです。

国内だけにとどまらない「玉井式」の世界的な展開

株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズ

国内だけでなく世界中を飛び回っていらっしゃって非常にパワフルな印象ですが、どのようなモチベーションで取り組まれているのでしょうか?

私自身としては、教材を徹底的に本気で作って、教材のクオリティを世界一にしたいというのが第一にありますね。そのためには、実際に各国の現場で教えて子どもたちの反応を見ることも必要だし、世界の動向を見ながら、未来に向けて必要なものをどんどん提供していかなきゃいけないと思うんです。過去の成功事例にたよっている教材だけでは不足しています。それって生半可なことじゃないですが、面白いですよ。
あとは、50歳を過ぎている私でもこんなにやれるんだから、体力も気力も可処分時間も山ほどある若者なら絶対何でもできる!ということも伝えたいですね。

今後の展望についてお聞かせください。

インドでも法人を立ち上げ、今現地の学校で玉井式教材の活用が始まっています。シンガポールでも現地の塾と提携して11月から玉井式が始まります。
自分がどこかの国へ行って日本人向けの教室を開くということではなくて、その国の人に向けた教育を研究、提供していくことが結果的には未来の日本人に必要な教材を作ることにつながると思っています。慢心することなく、世界中を回り、より良いICT教材の制作に努めたいと思っています。

取材日:2016年10月6日
ライター:垣貫由衣

株式会社タマイ インベストメント エデュケーションズ

  • 代表者名: 代表取締役 玉井満代(たまい みつよ)
  • 設立年月: 2001年7月
  • 資本金: 3,000,000円
  • 事業内容: ICT教材企画・開発事業、グローバル事業、研修・教育講演会、
           学習・進学塾経営事業、テキスト・書籍出版事業
  • 所在地: 京都経営企画本部 〒604-8153 京都府京都市中京区烏丸通四条上る笋町688 第15長谷ビル5F
          玉井教室 田辺本校 〒646-0032 和歌山県田辺市下屋敷町8-2
          東京本社 〒160-0032 東京都新宿区西新宿3-1-5
  • URL: http://www.tamai-edu.com
  • お問い合わせ先: TEL 075-708-8100 FAX 075-708-8101
  •             上記HPの「お問合わせ」よりお問合わせフォームをご利用ください。

ZIGEN株式会社

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ZIGEN株式会社

オリジナルメンズコスメの通販を軸として、通販サイトのコンサルティングなどを手がけるZIGEN株式会社。通販業界で経験を積んだ鳥山(からすやま)氏が、業界に感じた疑問をもとに勤務先で新事業として立ち上げ、2015年に会社を設立。クライアントと思いを共有することをモットーに、自社の事業も広げたいと熱く語っていただきました。

現状に疑問を感じて、納得のいく商品を開発

会社設立までの経緯を教えてください。

私は長崎出身で、福岡にある簿記専門学校を卒業しました。一度は営業の仕事に就きましたが、手に職をつけたいと思い、WEBデザインの学校で3か月みっちり技術を学びました。自分が好きなことを考えたとき、アートやデザインが思い浮かんだのです。
23歳のときにWEB制作の会社で働き始め、食品メーカーの通販部署に出向。広告の打ち合わせにも同席して、1年でリーダー的な立場になりました。その後、通販会社に特化した事業を展開する会社に転職して10年ほど勤務し、ECサイトのデザイナー・ディレクター・プロデューサーという3つの役割を担いました。当初は社長と2名だけの会社でしたが、社員は10年で10名になりました。

ECサイトの制作とコンサルティングをメインにされていたのですか?

はい、まずは通販サイトを作り、そこから集客して売上を伸ばすための仕組みづくりを行っていました。
そうして様々な通販企業様と深く携わり、取り扱う商品に詳しくなる中で、世にある多くの商品の品質自体に疑問を感じるようになってきました。
良い成分が入っていると謳っているものの、実はそれはほんの少量で、同時に保存料・防腐剤・添加物などの成分が多く入っていたり……。
お客様が事実を知らされずに商品を購入されてる現実に、これはおかしいと思いました。

矛盾に気付いてしまったのですね。

現状に課題を感じたことで、自社でこだわって納得できる商品を作り、世の中に出そうと決意しました。もともと自分で通販を手がけてみたいという気持ちもあり、メンズコスメの市場に注目していたんです。そこで前会社の代表に相談し、2013年に別会社として立ち上げてました。
そしてオリジナルのメンズコスメ「ZIGENオールインワンフェイスジェル」「ZIGENフェイスウォッシュ」の販売をスタートしました。
しかし、2015年7月に私が事業を引き継いで代表に就任し、社名をZIGEN株式会社に変更し、新たにスタートいたしました。
その際、前社からのスタッフ2名を引き継ぎ、今は代表の私とディレクター、デザイナーの3名体制で自社通販事業とコンサルティング事業を展開しています。

自社商品の通販と通販サイトのコンサルで
実績を積み重ね幅広いネットワークを構築

ZIGEN株式会社

御社の事業内容について教えてください。

現在、設立から1年3か月が経ったところで、自社商品ZIGENの通販をメインに、通販サイトの制作やコンサルティングを行っています。クライアント様は九州をはじめ、大阪や東京にも広がっています。

御社の強みはどんなところでしょう。

これまでの実績や積み重ねのおかげで、幅広いネットワークがあるところでしょうか。自社でできない広告運用などは、信頼のある広告代理店様などをご紹介することもいたします。

商品や人に深く共感できるクライアントを応援

御社の特徴を聞かせてください。

当社がサイトの制作やコンサルティングをさせていただくのは、
商品に対してこだわりや想いがある代表者様やスタッフの方が運営されている熱い想いを持った企業様です。
単に売上を上げたい、全てお任せという会社様とのお仕事は、残念ながらお断りさせていただくこともあります。
もちろん数字も大切ですが、それだけではダメで、クライアント様と思いを共有し、心からサポートしたいと思えることが重要だと考えているからです。
また、誤解を招く表現や見せ方は行わず、正しい情報をお伝えするよう心がけています。通販では特に「〇〇%の高配合!」「リピート率98%」「〇〇で第1位」といった商品の紹介をよくいたしますが、中には根拠がなかったり、意図的に作られた数字と思われるものも多いのが現実です。最終的には購入されるお客様にご迷惑をかける形になるので、当社ではそのような伝え方はせず、正しい情報を正しいやり方・表現でお客様にお伝えするよう心がけています。

烏山さんにとって、この仕事の面白さは。

お客様のために熱い思いで開発した商品が、本当に悩まれているお客様の元へお届けできたときの感動と達成感です。
お客様は正直なので本当に良いと実感していただいた商品に対しては、メールやお電話などでご使用になった時の感動を教えていただけます。
もちろんリピートしていただく可能性も必然的に高いです。
そのために、全力で考え提案し続けていきたいと思っています。

自ら学び成長していける人と働きたい

ZIGEN株式会社

今後の展望についてお聞かせください。

現在のメンズコスメ事業は、順調にファンが増え売上を伸ばしています。
今後は何かしら男性に特化した事業を広げていければと考えています。
会社としては1年に1名ずつ採用し、5年後には8名~10名ほどを抱える組織になっているといいですね。一般的にWEB業界は多忙というイメージがありますが、当社は忙しいながらも働きやすい環境を整えていくつもりです。

烏山さんはご自身もクリエイターでいらっしゃいますが、どんなクリエイターと一緒に働きたいですか。

採用するときは、それほどスキルは求めていません。もちろん基本的なスキルは必要ですが、それ以上に「思いやりのある行動できるか」「入社してからどれだけ成長できるか」という点を注目するようにしています。
通販はお客様のことを一番に考えた上で事業をすべきだと私は考えてますし、「思いやりのある行動」ができる人は私の経験上、周りに好かれますし、結果仕事がデキる人になりやすいです。
また、働き始めてからグンと伸びる人は、自己分析ができて足りない点を自主的に学び補うことが出来る人です。その目安として、2回目の失敗はしない、何事にも積極的にチャレンジする、勉強会やセミナーなど自ら学びの場に参加しているかどうかは大きなアピールになると思います。

取材日: 2016年10月21日
ライター: 佐々木恵美

ZIGEN株式会社

  • 代表者名(よみがな) : 烏山友幸(からすやま ともゆき)
  • 設立年月: 2015年7月
  • 事業内容: EC事業、ECコンサルティング事業
  • 所在地: 〒810-0021 福岡市中央区今泉1-17-22 I.CUBE401
  • TEL: 092-791-5215
  • URL: https://www.zigen-shop.com/
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